第110話 友好
昼食を食べにカフェテリアへ向かうと凄い混んでいた。
「すごい人だね~。席は空いてるのかな?」
「さすがに空いてると思うぞ。そうじゃないと授業に間に合わなくなるからな。」
「そうだよね。」
列に並び、券売機で食券を購入する。途中でケルンやセラたちを見たが、他の友達と喋っていた。
流石だな、もう馴染んでやがる。
「へ~、ジンは牛丼にするのか。なら俺もそうしよう。」
「ちゃんとサラダも買えよ。おれは買ったぞ。」
「偉いな、健康とか気にしてるのか?」
「ああ、年をとっても元気でいたいからな。」
「まだ若いのにな。」
談笑しつつ、列が進むのを待つ。
「ラギーナは何にしたんだ?」
「テー麺だ。」
テー麺、それはベトナムのフォーのようなものだ。おれはまだ食ったことがない。機会があれば食いたいとは思っている。
「へ~、マリーは?」
「マリーは天ぷらかな。」
「ああ、それはうまいよな。」
(マスター、報告です。帝国はマーテル公国に軍事支援を行うことを決定しました。ですが兵は出さないようです。)
(そうか、思ってた通りだな。マーテル公国を西の盾としてフォーミリアに侵攻するかもな。引き続き、監視は怠るな。)
(了解です。)
(そろそろ闇オークションで得た戦利品を整理したいし、あのヒキガエルの手紙も確認しないといけないんだよな。)
(やることは山積みですね。)
それからそれぞれ料理を受け取ってなんとか席を見つけて座る。
「やっと座れたな。毎回これは大変だな。」
「だから売店があるんじゃないか?」
「よくそんなとこまで見てるな、ジン。」
「まあな。」
うーん、うまいな。やっぱり牛肉だよな。年を取ったら脂っこく感じるんだろうけど。
しばらくして食べ終わるとこれからどうするかを話し合う。
「さて、夜ご飯まで時間はあるし、どうしようか?」
「もう解散でいいんじゃないか。」
「いや、学舎を見て回ろうぜ、迷子になったら困るし。なぁ、氷姫?」
「その名で呼ぶな。泣かせるぞ。」
「おお怖えー。」
「へー、二人は仲いいんだな。」
「ああ。」
「よくない!!」
「ひどいな~、俺たち友達だろ。」
(マスターが言うと薄っぺらく聞こえますね。)
(お前は黙ってろ。)
ラギーナを揶揄ったりして学舎を見て回ると日がすっかり暮れてしまった。
おいおい、広すぎんだろ。これは見て回って正解だったな、下手しなくても迷子になるぞ。
「広かったな。」
「ほんとにな。」
「そうだね~。」
いい時間になったのでカフェテリアで食事をとり解散する。
「ジンは大浴場に行くのか?」
「いや、部屋でシャワーでも浴びるわ。フレイは?」
「俺もそうするよ。湯冷めしそうだしな。」
「だよな。ところで残りの二人の事はどう思う?」
「うーん、やり辛いな。タイプが違うし。」
「右に同じ。まぁ、徐々に仲良くするしかないのかな。」
「まぁ、そうだな。4年間あるからのんびり行けばいいさ。」
そんな会話を交わしながら部屋に戻り、シャワーを浴びる。
皆が寝静まったところで銀の魔力で視力を強化し、影分身をベッドに残して外に転移する。
「ああ~、疲れた。これがまだあと4年も続くのか。地獄だな。」
「まだ始まったばかりですからね。」
「とりあえず、今は人気のない郊外まで行くか。」
転移で帝都の外に向かう。
「ふぅ、ここまでくれば大丈夫だろ。とりあえず、ヒキガエルからの手紙を確認するか。……………なるほどな。」
「なんて書いてありましたか?」
「帝都にある屋敷にいつでも遊びに来てくださいと書かれてある。名前はゴーラ・ヴァイスだとよ。貴族じゃないみたいだな。」
「それでどうされますか?」
「休みの日にでも向かうさ。この手紙があれば取り次いでもらえるようだし。」
「そうですか。」
「ほんとうは鳳凰の羽の効果を試したりもしてみたいがそれも休みの日だな。」
「それではどうしてわざわざこんなところまで来たのですか?」
「…ヒキガエルの手紙を早く確認したかったんだ、重要なことが書かれてるかもしれないし。」
「…それだけですか?」
「それだけだ。ところで残りの残金はいくらだ?」
「白金貨500枚ぐらいですかね。」
「結構使ったな。次のオークションにまでまた貯めないと。」
「貯めるっていうか奪うんですよね。」
「そうとも言うな。まぁ、とりあえず帰るぞ。」
「了解。」
その後、部屋にこっそり戻り眠るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます