第104話 まだ続く

違法薬物、魔力増強剤、リュウの素材、違法奴隷、モンスターのはく製などがオークションにかけられていく。

うーん、微妙な物ばっかりだな。宝石とか武器とかないのか?

「さて、では次に参りましょう。古代遺跡から発掘された水だけでなく流す魔力によって氷も操ることができる非常に珍しい魔剣です。白金貨30枚から始めさせていただきます。」

「70枚だ。」

「おおっと、いきなり倍以上になりました。他におられませんか?」

魔剣か、一つくらいほしいな。でも相手はあのヒキガエルか。ゲコゲコ泣かしてやるよ。

「100枚だ」

「150枚。」

「300枚。」

そこでヒキガエルが初めて止まり、俺の方を見てきた。

俺に勝てるわけないだろ、大商会の全財産を持つ男だぞ。

「500枚。」

「800枚だ。」

周りの客たちは値段がつりあげられていく様子を固唾を飲んで見守っている。

「大丈夫なの?」

「もちろん、でなければ勝負などしないよ。」

「そういう意味じゃないんだけど。」

しばらく沈黙が続き、

「800枚以上の方はおられませんか?、…では落札、落札です。現時点で最高額での落札です。」

するとあちこちから囁きがおこる。

「彼は何者なんだ?」

「しらんな。だがとんでもないダークホースだ。」

おお、噂されてる。そりゃ、よくわからない奴が大金だしたら気になるか。

(氷の魔剣ですか、私のデータにはありませんね。)

(末期にでもできたんじゃないか?)

(そうかもしれませんね。)

「では一度、ここで休憩とさせていただきます。ここまでで落札された方は清算するので前の方までお越しください。次の始まりは20分後とさせていただきます。」

大勢の客がステージに集まり、金を払っていく、

俺も競り落としたサファイアと魔剣の値段を支払う。

(マスター、サファイアなんてどうするんですか?)

(そりゃ、見て楽しむんだよ。)

(理解できません。)

(大人のロマンだ。お前にはまだ早かったみたいだな。)

(マスターも子供じゃないですか。)

(そんなことはない。)

ポケットから指輪を取り出し、誰にも見られないようサファイアを収納する。そして魔剣は腰に下げる。

するとヒキガエルが話しかけてきた。

「グフグフ、大変驚きました。この私が諦めざるを得ないとは。どうです、私と懇意にしていただけませんか、グフフ。」

笑い方気持ち悪すぎんだろ。

(よかったですね、マスター。新しい友達ができそうです。)

(冗談だろ。絶対嫌なんだが。)

(でも役立つかもしれませんよ?、それに面白い人物ですよ、きっと。)

頭の中で平穏な生活と面白さを天秤にかける。すると面白さに傾いたので友達になることを決意する。

まぁ、いざとなればブッチすればいいだけだしな。

「ああ、こちらこそよろしく頼む。」

「ギュフフ、これを受け取りください。オークションが終わったらまた会いましょう。」

そういうと手紙を渡して去っていく。

俺は手紙をスクエアにしまう。

(キャラの濃い人物だったな。)

(マスターもですけどね。類は友を呼ぶってやつじゃないですか?)

(それだけは断固否定する。)

(まぁ、本人は自覚がないでしょうね。)

その後、オークションが再開されて宝石や魔石関係だけを買い漁り、他の人たちは俺が宝石の時に札を上げたらすぐに諦めるようになった。

「ではここからは自由オークションとなります。オークションにかけたいものがあり人は前までお越しください。」

「じゃあ、ちょっと行ってくるよ。」

「えっ、いくの?」

「ああ。」

たくさんの人が前に集まる。これまでにも出品されたような品が売られていく。

そして俺はスクエアに入っている素材の準備をする。

「さあ、お次は最高額での落札をされた白い仮面をつけたお方です。何を出されるのでしょうか?」

無駄にハードルを上げるのはやめてほしい。

「期待に応えれなくてすまない。俺が出すのはリュウの素材だ。白金貨2枚から

で頼む。」

「なかなかきれいな素材ですな。」

「そうですな。」

そんな声が聞こえ、声が上がり始める。

「10枚。」

「15枚。」

「40枚。」

「……………」

「他におられませんか?、…では落札です。」

無事に落札した人物と取引を交わし終える。そしてしばらくして自由オークションも終了する。

「これにて本日のオークションは終わりとなります。また明日もぜひ招待状と仮面を忘れずにお越しください。」

そしてみんな帰っていく。

(なかなか楽しかったな。明日も楽しみだ。)

(ずいぶん宝石を買いましたね。たぶんどっかの国の宝物庫から盗まれたものも混じってますよ。)

(それでこそ闇オークションで買ったかいがある。)

(暢気ですね。はぁ~。)

人気のないところまで移動し、幻術をかけて風魔法で宿へ向かう。

「ジン様、どうしてあんなにお金を持ってたんですか?、」

やばいやばい、その質問は考えてなかったぞ。

「商会のトップの弱みを握ってな、それで口止め料としてたくさんもらったんだ。」

(とんでもない嘘をつきますね。)

(しゃーねーだろ。ヴァルクス商会から金庫を盗みましたとは言えないだろ。)

(それはそうですけど、いくらなんでも・・・)

「はぁ~、もういいです。それで明日も行くんですか?」

「もちろん、今日は昼ぐらいまで寝るからな。」

「分かりました。それとサファイヤをどこに収納したのかも気になりますが。」

「それは内緒だ。」

「はぁ~、秘密事項が多いですね。」

「ああ。俺は謎多き男なんだ。」

「少しは悪びれて下さいよ。」

その後、宿に戻り睡眠をとる。



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