第87話 豪華な部屋
(どうしてこうなったんだ?、まだこれならもう一回、同じ劇を見る方がましだぞ。)
(どちらにせよ、マスターに拒否権はないんですから、諦めましょう。)
悲しいなぁ。これが生まれによる差ってやつか。
「本当にいつみても立派な城よね。」
「そうだね~、マリー、初めて見たとき驚いて声も出なかったもん。」
「俺もそうだ、自分の住んでいる領館とぜんぜん違ったからな。」
「そうだよねぇ、全然装飾品とかも違うしね。」
「確かにそうかもしれないけど、結構大変なのよ。壺を割ったらお父様に叱られるし。」
いや、それは普通だろ。何もおかしくねぇよ、箱入り娘が。
「ジン、さっきから大人しいね。ご飯の時からそうだけどどうかしたの?」
「いや、少し体力不足でさ、ちょっと疲れてるんだ。」
「だらしないわねぇ、あんた。そんなんじゃ学園でも苦労するわよ。」
もうすでに苦労してるわ、こちとらリュウとの戦争にも参加したんだよ。
「もう少しだから頑張って。着いたら甘いお菓子があるわよ。」
姫さんや、お菓子で頑張るのは小さい子供だけだろ。
さすがにそんなんじゃ頑張れねぇよ。
(情けないですね、マスター。ミランダに励まされてるじゃないですか。)
(そりゃあんな情報を聞けば誰でも疲れるだろ。絶対、帝国が危ないし。)
(そうですね。大変な時代に生まれましたね。)
(全くだ。もう少し楽な時代に生まれたかった。)
しばらく、歩いていると帝城の門が見えてきた。
「相変わらず立派な門ね。装飾も鮮やかだし。」
「ああ、そうだな。」
軽く身体検査を受け、城の中へ入っていく。
「外は寒いから、室内で話しましょ。付いてきて。」
ミラに続いていくと一つの部屋に案内された。
ここで大人と子供が分かれる。
うっわ、広っ。しかもなんか高そうな絨毯だな。
それにすごいシャンデリアもある。
「皆、ソファに座って頂戴。」
それぞれソファに座り、俺は端に座る。
隣はマリーで向かいはロゼ。
こいつが正面なのは嫌だな、なんか嫌味を言われそう。
(この部屋にあるものを売るだけで、孫の代まで遊んで暮らせますね。)
(マジか、新しい生き方が一つ見えたな。)
(まさか盗むとは言わないですよね?)
(よくわかったな。その通りだ、一つくらいなくなっても大丈夫だろ。)
(最低の発想ですね。ちゃんと働きましょうよ。)
(いや、最近思うんだけどさ、俺がリュウとの戦争に参加した報酬をもらってないなと思ってさ。リュウの遺体は回収できなかったし。しかもリュウの素材が出回ってるせいで俺の持つリュウの素材の価値も下がったし、俺に利益ないだろ。それに皇族の尻拭いをしてやったんだから、もらっても罰は当たらんだろ。)
(すごい理論ですね。それなら銀仮面として要求したらどうです?)
(お前できないの分かってて言ってるだろ。)
(冗談ですよ、冗談。まぁ、最終手段にしといたほうがいいのでは?、まだお金はありますし。)
(そうだな、逃亡することになったら盗むか。)
「コンコン」
「失礼します。ミランダ皇女、お菓子とお飲み物をお持ちいたしました。」
「ありがとう。テーブルの上においてくれる?」
「かしこまりました。」
「あと、ボードゲームとトランプも持ってきて頂戴。」
「かしこまりました。では失礼いたします。」
「ガチャッ」
室内には子供たちだけとなった。
「さあ、みんな、食べましょう。」
今食ったら、夕食に響きそうだけどまぁいいか。
お菓子は大好きだし。
「美味しいね~、いくらでも食べれそう。」
「確かにとても美味しいな。」
「ならよかったわ、どんどん食べてちょうだい。」
「やっぱり、歩いた後のお菓子は格別よね。」
「コンコン」
「失礼いたします、こちらがボードゲームとトランプです。ごゆっくりお楽しみください。」
いや、もうできれば早く帰りたいです。
非常に肩がこるんですよ。
「ありがとう、また何かあったら呼ぶから、それまでは来なくていいわ。」
「分かりました、失礼いたします。」
「ガチャッ」
すごいな。俺は使用人でもあんなすらすら命令できない。
やっぱりミラは上級階級なんだな。
「さて、これで遊びましょう。どれがしたい?」
「ジン、あんた、私と戦場チェスでもやりましょう。コテンパンにしてあげるわ。」
「悪い、戦場チェスってなんだ?」
「あんた、知らないの?、今、はやってるのに。」
皆、驚いた顔をしている。
いや~、田舎貴族なもんでお恥ずかしい。
「知らないのか?、ジン。」
「知らないなぁ。」
「結構有名だよ?、うちの領地でも流行ってるし。」
「そうなのか。どういうゲームなんだ?」
「戦争を模してるのよ。それぞれ歩兵、騎馬隊、司令官、宰相、王、近衛騎士、軍師、魔導士があるのよ。」
「王と宰相は戦場に出ないだろ。」
「ゲームなんだから仕方ないじゃない。ほらルールを教えてあげるから覚えなさい。」
面白そうだな。ボードゲームは昔から得意だったからな、合法的にこの赤毛をコテンパンにしてやる。
「じゃあ、僕たちはトランプで遊ぼうか。」
「そうだね~。」
そして戦場チェス組とトランプ組に分かれる。
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