第66話 到着
銀の魔力で視力を強化し、一気に転移で飛ぶ。
一年間、検証を続けた結果、おそらく100キロ以上は視えている気がする。
少なくとも前の倍は絶対に見えている。
そして、透視も可能となり、物の後ろ側も見ることができるようになった。
これにより、転移の幅が広がった。
いや~、銀の魔力はすごいな。限界をぶち抜きすぎだろ。
あんまり、人前で使うのはやめとこ。バレたら面倒なことになるのは確定だからな。
それにしても、紅銀炎はほんとに綺麗だったなぁ。あれから誰かに目撃されるのを恐れて使えていない。
しばらく転移して、パールを見つけた山も通過し、ここからは通常の風魔法で進んでいく。
それから、いくつかの街を通り過ぎるたびに見下ろすと復興作業が行われているのが見えた。
やっぱりこのへんも被害を受けてるんだな。
猛スピードで飛んでいると、前方に大きな山が見えてきた。
おっ、あれかな。
「マスター、あれがエルファイヤ火山です。」
「そうか、結構大きいな。やっぱり、温泉街とかあるのかな?」
「どうでしょうか、あったとしてもリュウの被害を受けているような気もしますが。」
「そうだよなぁ。そろそろ、降りるか。目撃されてもめんどいからな。」
俺たちは地面に降下し、中年のさえない姿に幻術で化ける。
「これでいいかな、ここからは会話はなしな。あれで話すぞ。」
「了解。」
しばらく、エルファイヤ火山に向かって通常の身体強化で進んでいく。
(結構まだ遠いな。)
(そうですね、飛んでいたら近くに思えるものです。)
(あと何キロぐらいかな?)
(7キロぐらいです。)
(中途半端な距離だな。このまま走っていくか。)
しばらく道を走っていると、前方で馬車が賊に襲われているのが見えたため、いったん止まる。
(どうするんですか、マスター。)
(やっぱり、お前も見えてたか。もちろんスルーだ。今回は問題ないだろ。)
(そうですね。)
遠回りになるが進路を変えて、目的地へ向かう。
もちろん襲われているのを見ながら。
あらら、賊にしては結構強いな。それにしても護衛の奴ら、逃げ出してないか?
商人に雇われた冒険者か?
(何人か逃げ出し始めてますね。あれでは時間の問題でしょうね。)
(だよな、やっぱり治安が悪くなってるのかな?)
(そうでしょうね。)
やっぱりこの世界は弱肉強食のルールがもろに適用されるんだな。
男爵家の次男に生まれて本当に良かった。
いざとなれば、賊を狩って、持ってるものを奪うのもいいな。
これだったら良心も傷まないし。
そんなことを考えていると、復興中の街が見えてきた。
(あれは温泉街か?、街は全然原形を保ってないが。)
(どうしますか?、中に入りますか?)
(うーん、行ったところでお店はやってないかもしれないからな。自然に湧いている所を探すのもいいかもな。ていうか、転移で行けばいいんじゃね?)
(…確かにそうですね。全く思いつきませんでした。)
(俺もだ。うっかりしてたな。)
「転移」
エルファイヤ火山の麓の木の近くに転移する。
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