第65話 10歳
あれから一年が経ち俺は10歳となった。
とうとう屋敷の外に出るのを許可され、アレクに領内を案内されたが外に出ても領外へ出てしまう。
だって、魔法の練習できないし、そんな発展もしてないからな。
またリュウはSS級冒険者に討伐され、大陸は少し落ち着いた。
まぁ、全部倒されたかどうかは分からないんだが。でも、この一年リュウの目撃証言がないらしいからな、大丈夫だろ。そしてマルスは学園へと旅立っていった。どうなることやら。なにかやらかして俺に迷惑をかけるのだけはやめてくれよ。
それから大陸の情勢も変わった。やはりクレセリア皇国が動き、マーテル公国の隣まで進軍した。
そしてフォーミリア王国の南のエナメル王国がなんとトランテ王国と同盟を結んだ。
正直、予想していなかったので驚いた。
そして帝国は西側の復興に力を入れ、フォーミリア王国と同盟を結ぼうとしている。
大陸の情勢は一気に変わりつつある。
(パール、この一年は黄金の期間だな。学園に行かなくてもいいし、パーティに行かなくてもいい。最高じゃないか。たまにセラからくる手紙は勘弁してほしいが。)
(そんなこと言ってますが、セラ様からの手紙は全部私が代筆してるしゃないですか。あれ結構大変なんですからね。)
(いや~、めっちゃ感謝してるよ。そんな面倒くさいことなんてしたくないし。)
(はぁ、マスターは本当に変わりませんね。)
(まあな。)
そもそも俺は前世の延長上で生きてる感覚だからな、人格は生まれたときから形成されている。
(それで今日はどうされるんです?、いつものように魔法の練習をされますか?)
(そうだなぁ、さすがに魔法の練習も飽きてきたなぁ。かといって、帝都に行けば、サラやマルスと遭遇するかもしれないしなあ。うーん、そうだ、エルファイヤ火山に行って温泉につかりに行こう。)
(大丈夫ですか?、あそこの地域はまだ復興途中ですし、モンスターもいますよ。)
(大丈夫大丈夫、もう銀の魔力は完璧に扱えるからな。あれで勝てないなら、俺以外の人間も死ぬだろうからな、しょうがない。)
あれから一年、俺は銀の魔力の練習をきちんとした。
命にかかわることだからな、そりゃ一生懸命やるさ。
(そうですか、わかりました。)
そして朝の稽古を終わらして、昼ご飯を食べる。
「ジン、たまには外で遊んで来たらどう?」
「朝の稽古で疲れているので、そんな元気はありませんよ。母上。」
「はぁ、このぶんじゃパーティが心配だわ。」
安心してくれ、上級貴族たちとは絡まないから。
「ジンは何の本を読んでいるんだい?」
「そうですね、マルス兄さんのように英雄譚ですかね。」
「あれは面白いよね、僕も小さい頃はよく読んだものだ。」
「そうなんですね。」
いや、別にいらねぇよ、そんな情報。
はぁ、毎回の事だがご飯を食べるときに会話するの本当にきつい。
それからも大して面白くもない会話が続き、昼ご飯を終えるのであった。
部屋に戻って、替えの下着だけ用意する。
(パール、行くぞ。)
(了解。それにしてもいつもよくばれませんよね。)
(まぁな、適当に中庭に行ってたとかいえば簡単に信じるしな。ちょろいもんだ。)
(単にマスターの事が興味ないだけでは?)
(…ありうるな。放任主義なのかもな。)
(だから、マルス様はああなってるのかもしれませんね。)
(かもな、あとマルスに様はいらんぞ。そんな偉くないしな。)
(そうですか、分かりました。)
(さぁ、昼ごはんも食ったし、行くぞ。)
(了解。)
俺たちはエルファイヤ火山地帯に向かうのだった。
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