第63話 今後の行方

「コンコン」

「失礼します、起きてください、ジン様。もう昼前ですよ。」

「んー、も~う朝?」

「もう昼食の時間です。ほら着替えてください。」

「わかったよ。」

俺は服を着替えて朝食兼昼食を食べに行く。

料理が運ばれてくるのを待っている間、ミリアに尋ねる。

「ねぇ、ミリア、帝都にいるマルス兄さんたちは大丈夫かな?」

「私たちも寝ずに情報収集に努めていたのですか、どうやら古竜は討伐されたようです。ですが他にも竜や龍が暴れているそうです。大半は討伐されたようですが、まだ一部のリュウが暴れているとのことです。」

おっ、事後的に情報を出すのか。

さすがミリア、やるな。

「それは大丈夫なの?」

「はい、SS級冒険者が迎撃に出ており、あと残すところはわずかということです。」

「そっか、なら安心だね。」

本当に安心だ。だが帝国西部は黒龍によって壊滅状態だ。

しかも、滅んだ国も存在するからな。間違いなく大陸のパワーバランスが変わる。

おそらく被害をあまり受けていない国はこの機に乗じて動き始めるだろうな。

うわー、嫌だな。帝国は大丈夫だよな?

さすがにすぐに戦争を吹っかけてくる国はないと信じたい。

「ジン様、ですから今日も屋敷の中にいてくださいね。」

「わかってるよ。俺も危ない目にはあいたくないし。」

そういって運ばれてきた料理を食べる。


朝食兼昼食を食べ終わった後、部屋に籠ってこれからのことをパールと相談する。

(パール、これからどうなると思う?)

(そうですね、まずSS級冒険者がリュウをすべて倒し切れるのかがポイントですね。討ち漏らして姿を隠されたら厄介なことになります。)

(だよな、まぁ、こればっかりは彼らに任せるしかない。)

(介入しないんですか?)

(あぁ、まだ魔力は万全じゃないしな。それに民の声でどうせSS級冒険者は本気で動かざるを得ないだろうからな、なら大丈夫だろ。)

(そうかもしれませんね。彼らの強さは二人とはいえ、確認しましたからね。)

(じゃあさ、大陸のパワーバランスはどうなると思う。)

(間違いなく、崩れるでしょう。特に大陸西部の国は滅びましたからね。あそこの地域で被害を受けておらず、国土拡大を目指すクレセリア皇国が動くのは間違いないでしょう。そうなれば、マーテル公国の隣まで進むことになります。しかしマーテル公国までは来ないでしょう。いえ、来れないと言ったほうが正しいですね。マーテル公国までの道が破壊しつくされてますから。)

(はぁ、いろいろ不味いよな。もしかしたら東のトランテと南のフォーミリアもリュウに対してとか言って、実際は対帝国の同盟を組むかもしれないし。)

(そうですね、隙あらば帝国の力を削りたいと思ってるのはどこも同じでしょうから。それに今回の件で帝国西部は壊滅的な被害を被りましたからね、しばらくは復興に力を入れざるを得ないでしょう。)

(は~、本格的に逃亡路線が見え始めてきたな。)

(ですが、しばらくは大丈夫でしょう。リュウに対してどこも備えないといけませんから。)

(しっかり極小探査機を使って各国の動向を探ってくれ。)

(了解。)

(それにしても帝都でパーティに参加してる貴族も肝を冷やしただろうな。)

(そうですね、おそらく閉幕も早まるでしょう。)

(ふぅ、自由な時間も終わりか。なかなか良かったんだがな。それにしてもジェドに顔を見られたのは痛いな。あったら一発でバレる。)

(修行をつけてやるとか言われてましたもんね。)

(まじで余計なお世話だ。)

パールとそんな会話を交わしつつ、マルスたちが帰ってくるまで十分な休息をとるのだった。

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