第62話 会得
説明書きです。
〈〉は主人公以外の心の声。「」は会話。
()はパールとの会話。
[ ]はリュウのセリフ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「黒銀槍10連」
[効かぬ。その程度で我の全力の身体強化は破れん。]
身体強化?、どういうことだ?
それにしても純度もかなり上げてるのにダメージがはいらねぇ。
なにより幻術がうざい。
本物だと思ったら偽物だったりする。
追いすがってくる黒槍をうんざりしながら見つめ、しっかりと逃げる。
[おぬしは逃げる天才だな。仕留めたと思ったらギリギリで躱しよるし。]
「最高の褒め言葉をどうもありがとう。」
俺は負けさえしなければ勝てなくてもいい。
それに俺は追い込まれてからの方がやる気がでる。やらざるを得ないからな。
実際、だんだん銀の魔力の扱いは急速に上達していっている。
「銀氷剣10連」
「ギュラァァーーー」
くっ、良い線までいっているんだが、まだ押し勝てない。
急旋回で躱す。
〈こやつ、この短時間で銀の魔力の扱いが上達しておる。成長速度が異常に速い!!。楽しむのはここまでだな。〉
[残念だが、もう終わらせる。]
なんだ、奴の雰囲気が変わった。
さっきより闇の衣の密度が桁違いに上がっている。
そういやさっきあいつは身体強化と言っていたな。
闇魔法で身体強化が出来るのか?
ああもう、分からないことだらけだ。
そんなことを考えていると、黒剣が躱す隙間もなく飛んできて、龍の前以外、黒針で埋め尽くされている。
くっそ、誘導されてると分かってるが転移しないとどうしようもない。
シールドはなるべく避けたいし。
「転移」
[愚かな、罠とわかっていて飛び込むのは愚策だぞ。]
やかましい。
黒龍がブレスを吐いてくる。
「銀シールド」
結局、することになるのか。
なら、初めからしとけば良かった。
「ギュイィーーーーンーー」
凄まじい音が生じる。
〈こやつはここでとどめを刺す。〉
ぐぅ、さらに威力が上がっただと。
ふざけんなよ、トカゲの親戚。
こんなところで死ねるかよ。
死ぬなら俺以外の人間が死んだあとがいい。
俺は必死でシールドを維持する。
〈押しきれないだと。なぜだ、我のほうが強いはず。〉
暫くシールドを維持しているとだんだん銀の魔力の扱い方がわかってきた。
なるほどな、これはおそらく強化してるんじゃない。限界を超えてるんだ。
本来可能な性能を超えて強化しているから黒龍が言ったことは間違いではない。
そうと分かれば、あとは限界を超えるイメージに沿って銀の魔力を扱かえばいいだけ。
「くく、ははは。感謝するよ、黒龍。お前のお陰でやっと分かったよ。」
命の危機に瀕して、やっと銀の魔力の扱い方が分かった。
うーん、喜ばしくはないな。
そして俺は銀のシールドの限界値を上げていく。
だんだんとシールドがしっかりとしてくる。
〈馬鹿な。我の力は全盛期の8割程度とはいえ、人間が完全に防ぐだと。まさか、SS級冒険者か?〉
「冥土の土産に本気の魔法を見せてやる。」
俺はシールドを維持しつつ、銀の魔力を扱い、火の魔法を準備する。
すると奴はブレスを止め、
[馬鹿にするな、人間の分際で。我の本気のブレスを食らわせてやる。]
と言い、奴は身体に纏わせていた闇もブレスの方に回す。
それを見てシールドを解除する。
そして、
「これで終わりだ、紅銀炎!。」
俺はリュウのブレスを参考にし、一方向に紅と銀が混ざったなんとも言えない綺麗な炎を放つ。
「ギュラァァァァァァァァァーーー。」
奴の本気のブレスに少し気圧される。
だが俺の魔法は音も立てずに静かに奴のブレスを飲み込み、奴と闇の壁までも飲み込んだ。そして、世界の一部を紅と銀に染め上げたあと、静かに消えた。
「ハア〜、消耗が激しいな。でも、豪華な花火みたいだったし、結果オーライかな。」
「ド派手でしたね。」
「ああ、それにしてもすごい威力だな。弱っているとはいえ、龍の上半身が吹き飛んだぞ。ん?、あれはジェドか?。来るのが遅いんだよ。パール、あとは他の奴らに任せて帰るぞ。」
「了解。」
視力を銀の魔力で強化すると、まだ結構離れた所を飛んでいるジェドの姿が見えた。
とりあえず、後は丸投げして帰ることにする。
銀の魔力で視力を強化すると、今まで何倍もの距離を見ることができた。
これは何キロぐらい見えてるんだろうな。
まあ、検証は後だな。早く帰って寝よう。
俺は屋敷へ戻り、影分身を消して眠るのだった。
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