第61話 前哨戦

ちょっと用事があるので数日ペースが落ちます。

毎日一回は更新するつもりです。

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「はぁっ。」

聖剣をふるうが、黒龍が濃密な闇の衣を纏っているため手ごたえが全くない。

[全く聖剣を使いこなせてないな。飲み込まれるのを恐れすぎだ。]

「いやぁ、これはただの確認。使えないなら別にそれはそれでいい。過去の遺物に頼るのは健全とは言えないからな。」

[人間にしては弁えておるな。お主のような人間がもう少しいればこうはならずに済んだのかもしれんな。]

なんか勘違いしているけど、扱えたならめっちゃ扱うんだが。

使えるものは何でも使うのが俺の流儀だ。

俺は聖剣を投げ捨て魔法を発動させる。

「銀氷剣」

巨大な氷剣を放つがあっさりと無効化しされてしまう。

[ふむ、それはさっきも見たが不思議な魔法だ。銀の魔力で強化されているようだな。]

強化?、なるほど俺は勘違いしていた。

銀の魔力が主体なわけじゃなくて、通常の魔法に銀の魔力が流れ込んで威力が底上げされているというわけか。

「ずいぶん饒舌だな。」

[我は長いこと生きているが、そのような銀の魔力は初めて見るのだ。饒舌になるのも仕方あるまい。]

「長くってどれくらい生きてるんだ?」

[およそ、1700年ぐらいだな。]

「なら、古代文明時代を知っているのか?」

[ああ、知っておる。その結果、衰退したこともな。]

「何があったんだ、戦争くらいで魔法陣の知識が失われるなんておかしいだろ。」

[…お主はほんに聡いな。だが、それ故に厄介ごとに巻き込まれる。まあ、あの時代に限って言うなら影のモノが介入したのだ。]

「影のモノ?、なんだそれは?」

新たなフラグを立てるのは本当にやめてほしい。

[そこまで教えてやる義理はない。知りたければ自分で調べるんだな。さあ、続きといこう。]

そういうと数多の闇の針が飛んでくる。

「銀シールド。」

「ガガガガガガ」

えぐいな、全力なんだが押されてる。

守勢にはいったら負けるな。

「銀蒼炎球。」

「ギュラァァーーーーーー」

くっ、質量をもった闇のブレスか。

「転移」

奴の真上に移動し、

「銀風槍10連」

[ぬるいなぁ、小僧。我を楽しませてくれ。」

これは、黒剣旋風か。不味い!!

ゾーンからの銀・風魔法マックス。

「ゴウゴウゴウゴウ」

ものすごい風を発生させながら紙一重で躱しまくる。

[いいぞ、いいぞ、これならどうだ。]

そういうと奴はブレスを放ってくる。

チッ,ブレスには押し勝てないからな。

「転移」

すると実際には放たれておらず、躱した先に黒剣があった。

「幻術か!!」

とっさに銀の風を纏い、躱そうとするも掠ってしまった。

治癒魔法をすぐに開始する。

やばいな、銀の魔力で身体強化していてもダメージを食らうのか。

あと少し、遅かったら死んでたな。

やっぱり来るべきじゃ無かったか?

そもそもあとはSS級冒険者に丸投げして俺は東の方向へ逃げれば良かったんだ。

帝国がやばいと思ってつい行動しちまった。

くっそ、なんで思いつかなかった、過去の俺。恨むぞ。

次から次へと黒剣が飛んで来るが躱し続ける。

(マスター、大丈夫ですか?)

(ああ、お前は離れてろ。スクラップにされても知らんぞ。)

(分かってますよ。)

しかし、やばいな。

このままじゃ、確実に負ける。

可能性があるとすれば聖剣か、銀の魔力の扱いをさらに緻密にするぐらいか?

「試してみるか。」

俺は銀の魔力の純度を高め、銀風を纏う。 

「ゴウ」

一瞬で距離を詰める。

早えぇな、おい。ビックリしたわ。

「黒銀剣」

俺は一太刀を浴びせ、鱗を深く傷つける。

[ぬぅ、やるではないか。面白くなってきた。]

いやいや、全く面白くないんですけどね。

なんなら、今すぐ帰りたいんですけどね。

「お手柔らかに。」

俺は本心からの言葉を述べ、また戦うのだった。







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