第49話 種蒔き
(マスター、本当に聖剣を探すんですか?)
(いや、大体どこら辺にあるかはわかるんだが探すのは難しい。)
(大体の場所はわかるんですか!!)
(あぁ、目覚めたリュウがまず気にするのはおそらく聖剣だ。だからあのギルドマスターが言ってたようにリュウが飛び去って行ったと噂の絶えない大陸西部にあるはずだ。奴らが意思疎通を図っているかはわからないが、おそらく聖剣が持ち去られていないか確認しに行ってるんだろう。…それにしても大陸西部にも国があるからな、今頃滅びてるかもな。)
(物騒ですね。でもそこまでわかっているということは、証言をしに行かなかったのは、ただ面倒だったからなんですね。)
(何言ってるかわからないな。)
(はあ、困った人ですね。)
(それより確かスクエアには極小型探査機が10個あるんだよな。)
(はい、それで探しますか?)
(ああ、避難船には積まれてないのか?)
(積まれてますが、たぶんすぐばれますよ。大きくて気配を感じるので。)
(そうか、じゃあ、スクエアの探査機を飛ばしてリュウを尾行するぞ。ちゃんと管理しておいてくれ。)
(了解。)
次は国を動かす必要がある。
ギラニア帝国は大陸中央部に存在していて、東、西、南はそこそこの規模の国と接している。
帝国は巨大なため、喧嘩を売ってくる国は少ないが紛争中の国もある。
何とか協力路線にもっていきたい。
…俺働きすぎだろ。これが終わったら絶対に怠けてやる。
(よし、次は帝都の酒場に行くぞ。今日のうちにできることはやっておく。)
(どうして酒場なんですか?)
(少しは考えろ。)
転移でこっそり帝都の中に侵入する。
スリル満点だな。身分証を持っていないから警邏隊に声を掛けられたらめんどくさいことになる。
俺は自身に幻術をかけ、一般人に化ける。
ええと、酒場はあそこか。
店の中に入るとたくさんの人がいた。
俺はカウンターに向かい、おっさんの隣に座る。
「何にいたしますか?」
「お勧めで頼む。」
お酒を飲むのは前世と合わせても初めてだ。
少し楽しみだ。
「お待たせしました。」
「ゴクッ」
うげぇぇー、苦い。まずっ。
これは飲めんな。
俺はちゃんと飲んでいるように幻術で見せ、飲むのをやめる。
それでも次々と、お酒を頼む。
そして、
「お~い、おっちゃん、飲んでるか?」
酔ったふりして隣のおっさんに絡む。
「ん、なんだ。」
おお、嫌がられてんな。それでもやることは変わらないが。
「なあなあ、知ってるかあ。知り合いの冒険者に聞いたんだがリュウの目撃証言が増えてるらしいぃ。でもそれをなぜかあ、国と冒険者ギルドは隠しているだってよぉう。そんでどうやら小国が滅んだらしいぞぉ。」
俺が同じ内容を繰り返しているとあたりは静かになり、俺たちの話に聞き耳を立てている。
「じゃあぁ、帰るわ。ごちそーさーん。」
そういって金を払い、路地に入って帝都から転移する。
はぁ~あとはこれをほかの国でも繰り返すだけだな。
まじでだるいな。楽しくもないし。
そして俺は東のトランテ王国、西のマーテル公国、南のフォーミリア王国の首都でも同じことを繰り返す。
(今日はここまでだな。とりあえず帰るぞ。)
(了解です。)
俺のまいた種が成長することを祈る。
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