第48話 対応策

「コンコン」

「失礼します、起きてくださいジン様。もう昼前ですよ。」

「ん~、あともう少しだけ。」

「駄目です。このままじゃ堕落した人間になりますよ。」

「別にいいよ。」

むしろそれを目指しているといっても過言ではない。

「はあ~、起きてください。」

そう言ってミリアが俺の布団をはぎ、強制的に起こしてくる。

「強引だよね、ミリアって。」

「誰のせいですか、全くもう。」

俺は服を着替え、朝食兼昼食を食べに行く。


朝食兼昼食を食べ終わり、部屋に戻ってこれからのことについて考える。

どうするかなぁ、早くこの情報を大陸中の人間に伝えないといけないんだがどうやって伝えようか

まずは冒険者ギルドに伝えてSS級の奴らに動いてもらいたいが…。

うーん、古竜は逃げたっていう嘘をついたのが痛いな。

あと、早く聖剣も見つけなければならない。やることは山積みだ。

(パール、どうやって冒険者ギルドの本部にあれを伝えればいいと思う?)

(誠心誠意話すしかないんじゃないですか。)

(それだと、古竜は逃げたと報告したことが嘘だとバレるだろ。)

(その部分は話さなければいいんですよ。)

(…それは誠心誠意と言えるのか?)

(嘘を重ねるわけではないので大丈夫ですよ。)

こいつだんだん図太くなっていってないか。

(でも、そんな簡単に信じるかな?)

(映像は録画してますけど。これを見せるのはなしですよね?)

(…なしだな。オーバーテクノロジーを持っているのがばれたら面倒なことになるからな。仕方ない、俺の話術で乗り切るか。)

(相手を欺くのは得意ですもんね。)

(辛辣だな、おい。)


まだ体は本調子ではないが、顔見知りのゴリラに会いに行く。

受付嬢に

「すまない、ギルドマスターはいるか?、話したいことがあるんだが。」

と言うと、

「わかりました。普通なら取り次がないんですけど、他ならない銀仮面さんの頼みですから。」

と返事が返ってきて、ゴリラを呼びに行く。

いちいち、恩着せるような物言いしやがって。

ただ呼んできますね、だけでいいんだよ。出世できねぇぞ。

「どうした、銀仮面?、俺に話があるって?」

「そうだ、できれば個室で話したいんだが?」

「ふむ、まあいいだろう。ついてこい。」

相変わらずむかつくゴリラだ。バナナでもくれてやったら少しは賢くなるか?


「それで話したいこととはなんだ?」

「聖剣にまつわる話はしってるか?」

「ああ、知っているが、それがどうかしたか?」

俺はその話が本当であることに今回判明した事実を加え、今まさにリュウが目覚め始めていることを伝える。

「…それが本当ならとんでもない話だな。大陸中に嵐が巻き起こるぞ。」

「もうすでに起こっている。あの古竜はおそらく前触れに過ぎない。俺たちが勝てるとすればまだ覚醒して間もないうちに叩くことだ。」

「お前はこの話をどこで知ったんだ? というか本当なのか?」

やっぱり聞いてくるか、仕方ない。

「秘密だ、と言いたいところだがそういうわけにもいくまい。実は聖剣を使ってスライムを倒したのは俺の先祖でな。当時の話が伝わってるんだ。で、リュウが覚醒して攻撃してくるということはそういうことだろう?」

(すごい嘘つきますね。)

(うっせー、信じない方が悪い。だから俺も嘘をつかざるを得ないんだ。)

「そうなのか、ここだけの話だが竜や龍の目撃証言が増えてるんだ。しかも大陸西部方面に飛び去る証言が多い。」

「それは不味いぞ。奴らはおそらく結束するつもりだ。行動するなら一秒も早い方がいい。」

詰みのフェーズにはいってるんじゃないか?

都合のいい逆転の一手は無、いやあるな。

「たしかにそうだな。たとえ間違っていたとしてもすぐに本部に伝える必要がある。すまないが証言してくれないか?」

「悪いがすることがある。」

「ほかに何かあるのか?」

「聖剣を探すのさ。」

そう言って席を立つ。

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