第47話 人工知能視点2

マスターに食材を盗んでくるように命令されたので、とりあえず貴族街に向かいます。

なかなか立派な屋敷ですね。

とりあえず、このあたりの家から物色しますか。


さすが貴族ですね。なかなかの量の食材が置いてありました。

しかし、これではおそらく1年分に全然足りてませんね。

仕方ないです、産地の貴族の家に奪いに行きますか。

とりあえず、今日のお昼のお店に行くことにします。

ここですね、えーと、ふむふむ、ここから仕入れているということは…。

分かりました、あそこですね。

すぐに移動します。

ここの貴族の本拠地は確かこの都市だったはず。ビンゴですね。

さすがにかなりの量ですね。悪いですが全部持っていきますよ。

うーん、これは一年分の量ですかね。

分からなかったので近隣の貴族の家からも盗みました。

これではおそらく、1年分以上はありますね。まあ、少ないよりはいいでしょう。


そして任務を達成してしばらくすると、今度は一般人からも盗んでもいいと許可が出ました。

私としては楽でいいのですが、マスターは罪悪感を抱いていないのでしょうか?

…抱いていませんでした。マスターがいいなら私もいいんですが。


それからしばらく時が流れ、マスターの冒険者活動に付き合ったり、セラ様への手紙を代筆したり、指輪を解析したりと他にもいろいろして退屈になることがありません。

そして、モンスタースタンピードを率いるあの古竜と戦います。

マスターが戦うということは大丈夫だろうと思い、傍観しています。

実際に倒すことができたので、安心しました。

しかし違和感を覚えました。古竜にしては大幅に弱かったからです。

おそらく長い眠りから覚めたばかりなのでしょう。うまく魔力を操ることができていませんでした。

どちらにせよ、データが足りないので完全な答えは出ません。


マスターがまた計画をたてずに散歩をしようとしています。

ほんとにしょうがないですね。

しばらくのんびり移動していると、マスターがなんと水龍を見つけました。

水龍に絡まれ、衝撃的な事実が次々と明らかになっていきます。

マスターはどうするのでしょうか。

マスターに尋ねると戦うと返事が返ってきました。

逃げると思っていたので驚きです。マスターが戦い始めましたがぜんぜん龍に歯が立っていません。

あれはおそらく古龍でしょう。不味いですね。

するとマスターが受け身をとれずに吹き飛ばされていきます。

思はず、声が出て自分でも驚きました。

「マスターーーー。」

それからマスターは扱うことのできないはずの魔力を使い、戦い始めています。

おそらく体への負担は、これ以上ないくらい重いはずです。

早く決着をつけてください。

マスターが龍の背に乗り、黒剣を当てています。おそらくあれが決まらないと、マスターは死ぬ。

そう思ったら、何も考えられなくなり、勝手に声が出ていました。

「マスターーーー、倒してください、これからも一緒にいたずらして回りましょうよ。やっと、私を外に連れだす人が現れたんですから責任を取ってください。」

それを聞いたマスターは、憎まれ口をたたくと体の魔力が銀色を帯び始めました。

データにない現象です。

それから首をあっさり切り落とし、倒れました。

慌てて避難船を出し、医療室で手当てをします。体がボロボロです。

ふぅ、何とか間に合いましたね。

とりあえず、マスターが目を覚ます前に古龍を避難船に積み込みます。

それからマスターが目を覚ますと、すぐに家に帰ります。

おそらくこれからが大変ですが、まあ、マスターをサポートして差し上げましょう。

この世界最高の人工知能がね。






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