第45話 激闘

「ドスッ、ドスッ」

よし、ダメージはいってんな。

「ガァァァァー---」

[なぜ我を攻撃する。約定を守るのではなかったのか!!]

なんか言ってるが無視だ。命がかかってるからな。

「黒槍旋風」

即座に闇魔法を展開するが

[許さぬ、許さぬぞ。人間め、一度ならず、二度も裏切るか。]

そういって、鋭い風の刃で切断される。

さすがに強い。

「蒼炎槍、十連」

俺は超巨大な蒼炎の槍を作って飛ばすが、すべてかき消される。

「おいおい、まじか。古竜より強いじゃないか。」

水龍は俺より鋭い水の槍を作り出し、飛ばしてくる。

[くたばれ、人間。]

風魔法で躱しつつ、躱し切れないものは転移でかわしていく。

[…それは空間魔法か。一度だけ見たことがある。]

そういうと奴は氷の針を全方向に飛ばす。

「まずっ。シールド。」

「ガガガガガ」

一気にシールドが削られていく。

「やばいな、重蒼炎。」

重力で蒼炎を球状に閉じ込め、一気に一方向に放つ。

できた通り道を一気に風をまとい、駆け抜ける。

「ガァァー---」

ちっ、水と風のブレスか。

「転移」

地面に巨大なクレーターができる。

不味いな、有効打は最初の一撃だけか、まだ魔力は残ってるがおそらく転移でも逃げ切れない。

くそっ、早まったか?

[先ほどから逃げてばかりだな、その程度じゃ我には勝てぬぞ。]

言われんでも分かってるわ。大トカゲめ。

「螺旋氷槍」

全力で放つが、風魔法で砕かれる。

俺は悟ってしまった。勝てないと。

やばいな、おそらく勝てない。かといって逃げられるわけでもない。

どうする、どうする。

こうなったら

「黒剣」

俺は二振りの黒い剣を作り出した。

そしてゾーンに入る。前世から可能だったことだ。あんまり、使ったことはないが。

[ふん、勝負を捨てたか]

「ドシュッ、ドシュッ」

俺は超集中状態で二太刀を浴びせる。

だが、うろこに傷がついただけだった。

[は?なんという速さだ。しかも、強化している我の鱗に傷をつけるか。なれば、ここからは敬意を表して本気で行かせてもらおうか。]

奴はものすごい数の氷の矢を飛ばすが、

「ふっ、ふっ、ふっ」

両手の黒剣を巧みに操り、すべての氷の針を躱したり弾いたりながら龍に肉迫していく。

右手の黒剣にありったけの闇を圧縮し、鋭い突きを放つ。

{これを食らうのは不味い。}

「ギュラー-----」

全力のブレスを放つ。

「くっそ、届け」

しばらくの間、ブレスと拮抗するが維持することができず、くらってしまう。

「ドン」

俺は地面に墜ちてしまった。くそっ、早く回復しねえと。

「ガァァァ」

「ッッ、シールド」

やばい、少しでもシールドを緩めたら跡形もなくなるぞ。

必死で耐えていると、ようやくブレスが止まった。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

[楽には死なせんぞ。苦しんでから死ね。]

くっそ、まさか俺が言われる立場になるとはな。見通しが甘かったか。

それでもこれ以外方法はなかったはずだ。遅いか早いかの違いでしかない。

さすがに俺以外の人類が死ねば、俺も生き残れるとは思っていない。

たとえ生き残れたとしても、悲惨な最期は確定だ。

そんなのは絶対にごめんだ。

「悪いが俺は負けられない、まだ9年しか生きてないんだ。それに俺、まだ童貞だからな、こんなところで死ねない。」

最大限に身体強化をかけるとあふれた魔力が可視化される。

くっ、さすがに体の負担がやばいな。短期決戦で終わらせるしかない。

「氷槍」

次から次へと氷槍を作り出し、一斉に放射する。

奴が氷槍を風魔法で迎撃している間に、一気に距離を詰め、黒剣の先に全魔力を使い闇を圧縮させて突きを放つ。。

今度こそ当てる。

「いけー---」

[ぬうっ、しつこいやつだ。]

「ギュラーー-----」

ふん、さっきとは違うぞ。地に堕ちた俺の泥臭い一撃だからな。

俺の一撃はブレスを切り裂いた。

「ビキビキ、パキッ」

奴の鱗を砕き、中の筋肉まで到達したがそこまでだった。

龍は暴れまわり、俺を吹き飛ばした。

「グッ」

俺は身体強化の魔法が切れ、受け身も取れず、吹き飛ばされてしまった。

「マスターーーーー」

はは、あいつ、俺の事心配してんのか。どうせ当然の結末ですねとか言うと思ってたのに。

「はあ、はあ、はあ、はあ、」

頭から血が垂れてくる。

[さらばだ、人間。]

そういって奴は、俺にとどめを刺そうとしてきた。

もう死ぬのか、俺は。違うだろ、俺は大往生して死ぬんだ。

ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな。

なにより諦めようとしたことに腹が立った。まだ扱えない魔力に無理やり干渉する。

「転移」

[いい加減諦めたらどうだ。今なら、楽に殺してやるぞ。]

「っははははは、見え透いた嘘はよせ。顔に嬲り殺すと書いてあるぞ。」

やばい、身体がはちきれそうだ。全身が痛い。

[往生際の悪い奴だ。]

「第3ラウンドと行こうぜ。」






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