第14話 人工知能視点
あれから千五百年が経ちました。おそらく、もう避難民は来ないのでしょう。博士も。
ですが、私に出された命令は待てというものでした。
だから待っていました。
すると、バリアが破れたのを感知し、驚きました。
そして現れたのは少年で手には水筒のようなものを持っていました。
少年と会話していると、文明が衰退していることが判明しましたが、予測していたとおりの結果です。
しかし、来ない避難民を待ち続けているだけでいいのかわからなくなり、少年に尋ねると思ってもいない返答がきて、少し情報処理に手間取りました。
少年の言うとおり考えていると、待てと命令されたが誰を待てとは言われていないから、少年についていけばいい。
少し拡大解釈をして告げると、清々しいほどに自己中心的な答えが帰ってきました。
望むところです。人の一生など儚いもの、どう生きて死ぬのか見届けましょう。
しかし、この少年、年齢の割に言動があっていないような気がします。
尋ねるとはぐらかされてしまいましたが仮説を立て、確かめていけばいいと結論づけました。
うん?他に目ぼしいものはないのかって、本当に根こそぎ取っていきますね。
私が渡した仮面と笏を見て、いかにも悪巧みをしている顔をしていましたが、どうなることやら。
帰るぞとマスターが言ったので、付いていくとなんと空に浮かび上がりました。
風魔法も使っていないのに浮き上がったのを見て、少しバグのようなものが発生しました。
ヒュンと急に消え、慌ててマスターの魔力の位置を探りましたがなかなか見つかりません。
そこで、極小型探査機を展開しマスターの位置を探ると10キロメートル先に居ました。
転移魔法陣もあったのですが、通常の移動の方が速いので、置いていかれないように、一気に加速し追いつきました。
マスターに問いかけようとしたら、「やるじゃないか、じゃあペース上げてくぞ」というので、仕方なく追いかけていきました。
その間、私はマスターは転移魔法が使える、ひいては空間魔法も可能なのではと仮説を立てましたが、おそらく正しいでしょう。
風魔法を使わず、宙に浮くのは重力関係しか思い当たりませんから。
あの時代にマスターがいればと思いますが今となってはどうしようもないことです。
博士は魔力増強のためにあの仮面を作ったのですが。
まぁ、気長に行きましょう。
千五百年も待ったのですから。
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