第9話 7歳

おれは7歳になった。短いようで長いな。まだ7歳か。

この世界はどうやら百五十歳まで生きる人もいるらしく、地球人よりも寿命が長い。

また、俺は7歳になったので親には敬語を使うようにしている。


ある日、朝食を食べていると

「来週、帝都で帝立学園に来年入学する貴族の子を持つ親によるパーティーが開かれるからね。マルスとジンは家で留守番を頼むよ」

それを聞いた俺は思わず、咳き込んでしまった。

「ゴホッ、ゴホッ」

「大丈夫、ジン、ハイ水。」

「ありがとう、サラ姉さん、ふぅ。というか帝立学園とはなんですか?」

「あら、知らなかったの、貴族の子供は帝立学園に通う義務があるのよ。言ってなかったかしら。」

「初耳ですよ。」

やはり、こういう展開か。前世の学校と思えば我慢できるか。はぁ〜。

「ちなみに、何年あるのですか」

「12歳から15歳までだから4年間ね」

「なるほど。」

「でも、楽しみだよね。僕は同じ年齢の貴族の子にあったことないからなぁ。」

何のんきなことを言ってやがる、マルス。我が家は貴族とはいえ、貴族の中でヒエラルキーの最下位なんだそ。上級貴族の子の不興を買えば、一発アウトだからな。

「そうだね、我が家の領地は小さいからそんなに政治的に重要じゃないし、パーティにも呼ばれないから手紙だけでいいしね。」

それって、ハブられているだけじゃ…

「私、パーティとか好きじゃないから大歓迎だわ」

「私もよ。貴族の会話って気をはらないといけないからしんどいのよね」

「そういうことだから留守番を頼むよ。」

「わかった。ジンと待ってるよ。」


当日、

「じゃあ、行ってくるよ。何かあればミリアを頼ればいいからね。」

「行ってきまーす。」

「ミリア、ジンとマルスを頼むわね」

「はい、奥様たちもお気をつけて」

「お土産よろしくね」

ちゃっかり、俺はお土産をおねがいする。

「はいはい、分かってます。じゃあ、行ってくるわね」

そう言って三人は馬車に乗り込み、姿が見えなくなるまで見送った。

「ねぇ、マルス兄さん」

「なんだい、」

「サラ姉さんがいなくなったから平和な日々を過ごせるね」

「はは、でもちゃんと稽古と勉強するよ」

「えーーーーー」

素が出てしまった。

いつもサラは俺たちにことあるごとに剣の稽古を強いてきて相手が大変なんだ。

この前なんか、転移を見られるところだった。

あれはなかなかのスリルだった。でもまあ、1週間は安泰だからな。魔法の練習を心置きなくできる。


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