第8話 冒険

とりあえず、風魔法で空を飛ぶか。あの空を飛ぶ気持ちよさは異世界ならではと言えるからな。

そうやって空を飛んで景色を楽しんでいると、前回遭遇した鳥型のモンスター、トルケルに出会った。

ふふ、前回遭遇したときに、きちんと学習していたのさ。

使う魔法は風魔法で、刃物のような風を飛ばしてくるらしい。

まずは、火の玉を大きくし火球を作る。

「ふっとべ、俺のために。」

そういいながら、俺は火球を投げつける。

どのみち、この世界で生きていくためにはモンスターと戦う必要が出て来るかもしれないからな。

「ああ、やっぱ躱されたか、あの速度じゃなあ。」

そんなことを言っているうちに、トルケルはどんどん迫ってくる。

「はぁ、また負けか」

俺は地上にある木の根本を見つけ、

「転移」、そう言って逃げたのだった。

「流石に、属性が異なる魔法を同時行使は難しいな。もっと練習するか」

家に帰った俺は剣よりも魔法に力を注ぐことを決意したのだった。

次の日から俺は剣の稽古で手を抜くようになり、部屋の中で水の玉と火の玉をできるだけ操って同時に行使するようになった。

しかし、魔法は楽しいな。魔法を頑張れば頑張るほど、生活が楽になるし。

次の日、

今日はお勉強である。大陸の歴史や、算数、文字、魔法の勉強をする。先生は母である。

この家、もしかして貧乏なのか?、家庭教師がいねぇ。まぁ、男爵家だしな、仕方ない。それはそうと、ここで知識チートをするやつもいるのだろうが、俺はしない。厄介事はゴメンだ。

「ジン、わからないところはある?」

「うーん、繰り上がりがよくわかんない」

ふふ、完璧だろ。見よ、この名子役っぷりを。

「そうねぇ、ここはこうやるの。」

「へぇー、そうなんだ。」

そんなことを繰り返しながらやっと、授業が終わった。

だるいな、算数はともかく、歴史はな。

あと、魔法の授業もあったが、レベルが低すぎて参考にならなかった。

どうやら、過去の魔法陣にとらわれて個々の魔法の使い方はあまり発達していないようである。実に愚かだ。

そして、そんな日々が繰り返されていった。









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