第3話 3歳
あれから、2年の月日が経ち、俺は文字を習得した。さらに、魔法関連とこの世界に関する知識を得た。どうやらこの世界に5つの大陸があるようだ。俺が住んでいるのはサルベリア大陸、北にはレーゲル大陸、東にはマルスラン大陸、南にはガロンドア大陸、西にはナミリア大陸が存在する。
かつては魔法陣を組み込んだ船を使い、大陸間の貿易が盛んだったようだが、全大陸間で戦争が行われ、文明は衰退してしまった。当時は魔方陣が主流で、戦争の末期には都市一つ軽く消せたそうだが、今ではそんな魔法陣は存在しない。つまり、この世界には古代文明が存在し、今よりも優れていたということである。
非常に楽しみだ。もしかしたら古代魔法とかもあるのかな?
また魔法陣以外には適性の魔法がある。これは一人一人、適性があり、適性の魔法を使うことができる。属性は、光、闇、風、水、火、土、雷、草、無属性があると言われている。
これを知ったとき、軽く絶望したね。だって、異世界といえば転移魔法だろ。まあ、空間魔法という概念がないだけかもしれないからな。気長に行こう、人生百年時代だ。
また属性を試したところ、俺はどうやら火と闇と風と水と無属性に適性があった。
そりゃ、光はないよな。俺に光って似合わないし。
ちなみに俺が住んでいるのは、サルべリア大陸唯一の超大国ギラニア帝国の北部男爵家エルバドス領である。
へー、男爵家だったんだな。しかし生まれがいいとのんびりできて最高だ。うちの領地は敵国と接していないため、スローライフ確定である。
窓を開けてきれいな景色を眺めていると、「やぁー、とぅー」という声が聞こえてきた。
中庭では兄のマルスが父親のアレクと剣の稽古をしていた。
「もしかして、俺もおっきくなったら、あれすんの?、嫌だなあ。」
貴族なんだからダラダラ生きたいと思うのは当然の思考ではないだろうか?
「何見てるのジン」
「母上、兄上の稽古をみてるんだ。俺もおっきくなったらあれをするの?」 「そうよ、5歳になったら稽古が始まるわ。マルスはアレクのあとを継いで領主になるからね。あなたも強くなってアレクを支えてあげてね。」
「はーい。」
冗談じゃねー、俺はぐうたらするぞ。これから怠惰に振る舞ってそういう認識に持っていくしかねえな。
「けど、3人とも大きくなったわよね。サラは7歳で、マルスは5歳、そしてジンは3歳だものね。」
なんて言っていたが俺の耳には入ってなかった。
「はぁー、やー」
声が変わったので外を見てみるとなんと姉のサラが父のアレクと打ち合っていた。
何だあれは…そう思っても仕方ない剣戟の嵐だった。
「はあ、全くあの子は。」
「母上、サラ姉さんすごいね。」
「サラは身体強化魔法も使ってるし、センスもいいからね。けど、作法と勉強もあのくらいできたら完璧だったのにね。」
そうやって稽古の様子を見ているとどうやら終わったようで、三人が帰ってきた。 「アレクお疲れ様。はい、タオル」
と言って母のアレナはタオルを渡していた。
マルスとサラにはメイドのミリアが渡していた。
「サラ姉さんすごかったね」
俺がそう話しかけると、
「そう、ありがとう。ジンが大きくなって戦うの楽しみね」などと宣う。
いや、勘弁してくれ。あんなん、どうしろってんだ。
そう思っていると、マルスが話しかけてきた。
「ジン、今日は絵本を読んであげるよ」
「本当?、ありがとうマルス兄さん」。
絵本はやめてくれなんてことをおくびにも出さない。俺はまだ3歳、俺はまだ3歳。
「あら、私が読んであげるわ。」
「いや、僕が読むからいいよ」
「私が読むわよ」
サラとマルスが言い合っていると「じゃあ私が読んであげるわよ」と母のアレナが言ったので、みんなで聞くこととなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます