第3話

 父のお説教を大人しく聞いてやり過ごし、父がお風呂に入ると、私は食事の後片付けを手伝いながら、母とおしゃべりをして楽しんだ。

「ねえ、先月からテレビでやってるアニメ、クラスの女の子達にすごく人気があるの。私も毎週見たい。」

放送が週末で、父の帰りが遅い時は見ることができるのだが、父が定時に帰ってくるとそうもいかなかった。

「そうね。主人公の女の子がどうなるか、私も知りたいわ。」

「お母さん、あのアニメ、好き?いいでしょう?テレビは全部だめってことないでしょう?」

「そうね。でも、お父さんはテレビがお嫌いだし……そうだわ。原作を買ってあげましょう。あなたにどんな本を買ってあげるかは、私に任せていただいてますからね。」

「確か、原作は漫画だったけどいいの?」

恐る恐る私が聞くと、

「お話の筋がしっかりしていて、絵がきれいなら、漫画でも何の問題もありませんよ。」

と、母が笑った。

「嬉しい!ありがとう、お母さん。」

 私は有頂天になっていたが、大事なことを思い出した。

「お母さん、明日、図工があるの。秋がテーマで、落ち葉とかドングリとかは学校でみんなで集めて用意してあるけど、家からも材料を持って行ってもいいの。明日の朝、裏の南天の実をとってもいい?」

「だめだ。」

父の声だった。いつのまにか、お風呂からあがって私の話を聞いていた。

「あの…少しあればいいんだけど…学校の図工で…」

頑張って説明したが、父には通じない。父は母を叱責した。

「お前は、南天の実の意味を教えていないのか!」

「すみません。よく言って聞かせます。」

謝っている母を無視して父は書斎にしている奥の間に閉じこもってしまった。私は唖然とした。

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