第2話 とある体育倉庫で
遅いっ!
……5分遅刻だよ?
え、なに?
『誰にもバレないようにこっそりと抜け出すの大変だった』の?
一応、誰にもこの体育倉庫に来ることは言わなかったんだね。
えらいえらい。
ふふふ、顔赤いよ?
頭を撫でられて照れちゃうだなんて、やっぱり君はかわいいなー。
『先生だって、いつもはクラスのみんなに囲まれてお昼食べているだろ。当然、誰にもバレないで、ここまで来たんだよな』か……それは大丈夫だから安心してよ。
お昼休みは用事——『小テストの採点があるから』って、クラスのみんなにはあらかじめ伝えているからね。
そんなことよりも、お昼休みの時間も限られているんだから……そろそろしよっか?
ほら、いつものように脱いでよ。
その間に、私もストッキングを脱ぐからね。
ああ、その悔しそうに下唇を噛む姿、ゾクゾクしちゃう。
ねえ、早く。
それとも今日は、私に脱がされたいのかな?
やっぱり……君って線が細いのに程よくがっしりとしているし、肌も白いから——私の好みなんだよね。
さあ、そこのマットの上でひざまずいて。
私はこの跳び箱の上に座るから……ほら、あとはわかるでしょ?
この数週間で日課となったことなんだから、君の身体もいい加減覚えたよね。
あれ……どうしたのかな。
いつまでも俯いたままじゃダメでしょ?
その端正なお顔を私に見せてよ。
あれ、なんで目を合わせてくれないのかな?
ふふ、そんな意地っ張りな君にはやっぱり——お仕置きが必要みたいだね。
ほら、早く——私の足の指を舐めなさい。
へー口答えするんだ。
君の口から『学園の憧れの教師のくせに、歪な性癖を抱えていることがバレたら、さぞかし学園のみんなが悲しむんじゃないのか』なんて説教をしてほしくはないんだよね。
ふふ、今の格好——君が跪いている姿で言われても全然、説得力ないよ?
その表情——ちょっとイライラしているようでいて、期待する眼差し、ほんとたまらないなー。
私が君を見下ろす関係。
ふふふ。学年の秀才くんである君と学園の憧れの教師の私にとって、お似合いの関係でしょ?
『教師のくせに、歪んでいる』……ね?
確かにそうかもしれないね。
自覚はあるよ。
でも、こんなにも私の心をかき乱している君の存在が悪いんだよ?
私だってこんなこと君以外にしないんだからね。
ううん、今のは失言。
あーもう……今は私のことなんて、そんなことどうでもいいでしょ。
これ以上ゴタゴタ言っていると、あの写真——君が夜の教室からプリントらしきものを抱えて出てくる姿が明日の朝には校舎中に広まっちゃうけど、いいのかな。
そうすると、君が医学部の推薦を狙っていることも当然、台無しになっちゃうよね。君のお母さまも相当ショックを受けちゃうんじゃないかな……そうでしょ?
ふふ、やっぱり君からのその軽蔑した視線、好き。
ほら、一応そこに消毒用のウェットティッシュもあるから、私の足を拭いてよ。
あっ、冷たい……。
……ん。
ああ、拭いた後にいきなりなめるから、びっくりしちゃった。
乱暴にされるのもいい感じかもっ。
ううん、聞こえなかったのなら気にしないで。
そんなことよりも——ふふふ、今の君の姿、ほんと滑稽だよね。
ん……あっ。
ザラザラとした舌が、気持ちいい。
ほら、次はパクッと咥えてよ。
あっあっ……んっ。
あっ、もっと強く……吸ってよっ。
ふふふ、『年下の男子高校生に足の指を舐められて、興奮するだなんて、マジで変態だな』なんて、そんな言葉責めやめてよ……私、抑えきれなくなっちゃうから……。
じゃあ、次は私の番だね。
立ち上がって、私の正面まで来て。
じゃあ、私からのご褒美をあげる。
——はむ。
あへ、いま、きみちょっとピクっとした?
首筋を噛まれて興奮するなんて、君だって変態さんなんだからね。
私のこと変態だなんて言えないでしょ。
もっと……んっ。
ふふ、君の首筋につけた歯型は私の所有物であることの証なんだから、他の女の子に迫られても、ちゃんと断らないとね?
あ、ちょっと待って。
これは、やばいかもしれない。
誰か生徒が近づいて来たのかもしれないっ。
そういえば、体育倉庫って内側から施錠できないことを忘れていたっ。
ほら、そこに脱ぎっぱなしの制服を抱えて、早くこっちにきて。
もう、そんなキョトンとした顔している場合じゃないでしょ。
ほら、早くしてっ。
マットレスと壁の間に隙間があるから、ここに隠れましょ。
もっと、私に身体を寄せてよ。
意外と二人だと狭いね。
ちょっと狭いけど、我慢してね……。
ふふふ、君、すっごく心臓がドクドクしているね。
すっごく温かいけど——
はあ、君……その立派なものをわざと当てているのかな。
てか、こんな時に興奮し過ぎ。
誰かにバレたらまずいってことくらいわかっているでしょ。
それなのに……我慢できないのかな?
もう……すっごく呼吸が乱れているよ?
ふふ、苦しそうなだね。
ああ、その苦痛に歪んだ君の顔——すごくいいっ!
……ちゅっ。
ふふ、ごめんね、唇奪っちゃった。
——ん!?
ちょっと……ん、ま、まって、激しいよ。
んっ……あっ、もうだめだってば。
誰かに見つかっちゃうから……ね?
『その気にさせた、先生が悪いんだ』なんてそんな冷めた声を耳元でつぶやかないでよ——んっ、まって、誰か倉庫に入ってきたみたいだからっ。
ちょっと覗いてみるから、少し離れて。
あっ、ちょっと、今わざと耳元に息を吹きかけたでしょっ。
もう……ダメなんだからねっ。
誰がきたのか見てみるから、ちょっと静かにしていてよね。
えっと……薄暗くてよく見えないけど……女の子かな。
髪の長いあの子は、確か……2年B組の子だよね。
え、君の幼馴染なの?
へー、可愛い子だね。
もしかして、君はあの子のこと好きなのかな?
ふーん、そんなに必死になって『俺とあいつは単なる腐れ縁で——』だなんて言い訳じみた言葉を並べられても、全然説得力ないんだけど。
あ、面白いこと思いついちゃった。
ここで私と君の声が聞こえてきたら、どんな反応するんだろうね。
あの子——すごく純情そうな感じだよね。
何も汚れを知らない子なのかな。
ふふ、ねえ、もしも私と君とのこの関係を知ったら——んっ!?
あっあっ……んっ……ちゅっ……。
もう、冗談なんだから、そんなに激しくしないでよっ。
本当にバレちゃうとまずいでしょ?
『誰か奥にいるんですか……』て少し震えた声だよ、あの子。
きっとおびえているんじゃないのかな……?
ふふ、ひょっこりと君が出ていってあげて、肩でも摩ってあげれば?
君の大切な幼馴染なんでしょ?
あ、でも、そうなると、今まで私と一緒にいたことがすぐにバレちゃうかもしれないね。
え?
だって、私の匂いが君にうつっているはずでしょ?
女の子は、匂いには敏感なんだよ?
特に好きな相手の匂いだったら、すぐにわかるんじゃないかな。
私だって君の匂いだったら、すぐにわかるんだよ。
え?そんなの好きだからに決まっているでしょっ。
ふふふ、そんな捨てられた子犬のような瞳で見つめないでよ。
君のことは離したりなんてしてあげないんだから、安心して。
それに、すでに君だって、私のこと——んっ。
ふふ、どこまでも一緒に落ちようね。
ううん、なんでもない。
今はまだね。
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