第25話 再会した日曜日
良は車を2時間運転して、義父から聞いた県外の妻が入院している病院へ行った。
病室では、鈴奈は青ざめた顔で眠っていた。
部屋にいた義父と息子の勇太が、良に気が付いた。
「パパ」
勇太は良に飛びついてきた。
「勇太。大変だったな。元気だったか?」
勇太は、言う。
「うん。ゆうたはげんきだよ。ママがいたいって。」
良は、義父に頭を下げる。
「お義父さんありがとうございます。」
義父は、良へ言った。
「いいさ。こちらは大丈夫だ。私もしばらく有給を使って仕事を休む事にした。」
話し声に気が付いたのか鈴奈が目を覚ました。
良を見て涙ぐむ。
鈴奈は言った。
「良君。私。子宮管を手術で取ったの。もっと私が早く気が付いていたら、ごめんなさい。」
義父は勇太へ言った。
「ゆうくん。少しママとパパがお話をするから、お外へ行こうか。」
勇太は返事をする。
「うん。さっきのこうえんいきたい。」
勇太が病室を後にした事を確かめて、良は、鈴奈に言う。
「大丈夫だよ。子供は勇太がいる。鈴奈のせいじゃない。」
鈴奈は言った。
「だって、良君は二人目が欲しいって言っていたでしょ。私もう自信がないの。こんな事になるなんて、、、」
良は言った。
「もう妊娠はできないのか?」
鈴奈は言う。
「ううん。出来る可能性もあるって言われたわ。しばらくは無理だけど、、、」
良は言った。
「焦る必要なんてないよ。俺達には勇太がいるだろ。お願いだから、離婚するなんて言わないでくれ。あの用紙を見てどんなに驚いた事か。」
鈴奈は何かを思い詰めたように言った。
「でも、もう無理よ。義母さんは、私が子宮外妊娠の事を話したら、所詮ただの妊娠だから手術なんて必要ないって。家事や勇太の世話はできないってハッキリ言ったの。同居をしていたら、助けてくれるって私が期待しすぎたのかもしれないけど、あんまりだわ。もうあの人と家族を続けるなんて考えられない。良君の事は好きだけど、もう嫌なの。本当に限界なのよ。」
良は、呆然とする。
薄々感じていたが、母の態度はあんまりだった。
良は、必死で鈴奈に頭を下げた。
「鈴奈。悪かった。こんな事になっているなんて思っていなかった。
頼む。離婚は考え直してくれ。俺は母より鈴奈の事が大事だ。
鈴奈の事を愛している。そんな事を言わないでくれ。」
鈴奈は涙を流しながら言った。
「無理なの。もう怖くてあの家には帰れそうにないわ。
大変だったのよ。良君はいないし、連絡は取れないし。
もし同居を解消したとしても、お義母さんと家族な事は変わりないでしょ。
だから、、、、、
離婚してください。」
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