第24話 電話で知らされた行方

良は義父の言葉に驚いた。


「入院ですか?鈴奈に何があったのですか?勇太はどこに?」


義父は言った。

「鈴奈はあと数日で退院できる予定だよ。勇太は元気にしている。近くの一時保育を利用する事ができた。それより、鈴奈から良君と連絡が取れないと聞いていたが、なにかあったのかね?」


良は言った。

「出張先でトラブルがあり、携帯電話を破損してしまいました。水曜日の夜には新しい携帯電話を購入しましたが、電話帳が復旧できなくて。実家の固定電話に連絡していましが、電話に出ていた祖母は認知症だったみたいで、分からなかったみたいです。」


義父は言った。

「そうか、君も大変だったね。鈴奈は、子宮外妊娠をしていたらしい。入院手術が必要だから、京香さんに手術の付き添いと勇太の世話を頼んだそうだが断られたそうだよ。それで、紹介状を書いて貰いこちらで手術をする事になった。京香さんには私も憤りを感じている。しばらくはこちらでゆっくりさせるつもりだよ。」


良は言った。

「すみません。お義父さん。まさかこんなことになるなんて、、、」


義父は言った。

「そういう事もあるだろう。こちらは大丈夫だから心配しないでくれ。だが、広一さんも倒れたのではなかったかな。良君は大丈夫か?」


良は言った。

「ええ、父には今日会ってきました。もう立ち上がれるようになっています。実は従妹の麗奈さんが祖母を引き取ってくれる事になりそうです。母の京香は、通帳を持って出て行ったらしくて連絡が取れません。父と離婚が成立しているかもしれません。」


義父は言った。

「そうか。いろいろ重なったな。鈴奈は手術が昨日無事に終わって、来週の水曜日には退院する予定になっている。もし余裕があれば会いに来てやってくれ。かなり今回の事で落ち込んでいるみたいでな。離婚届を置いてきたと言っていたが、、、」


良は言った。

「ええ、見ました。でも、俺は離婚するつもりなんてありません。明日の日曜日に行っても大丈夫でしょうか?」


義父は言った。

「ああ、もちろん。」


良は、義父から鈴奈が入院している病院と部屋番号を聞いた。義父と勇太も同じ時間に病院へ見舞に行く事になった。


鈴奈の為に、勇太の為に、二人目を産む為に同居を決めたはずだった。


まさかこんな事になるとは思っていなかった。


家族が誰もいなくなった広い丸田家で、良は溜息をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る