第5話

第五話

家に帰るとそこには久しぶりの訪問者がいた。

「なんで家の中にいるかわからないけど季星ちゃん、会いたかったよー。」

 ノリでハグしようとするとするりとかわされる。

「着地点をクローゼットの中にしたんですよ。」

「え?クローゼット?私の秘宝みた?」

「見ました。えっちなの好きなんですね。」

 耳が真っ赤だからきっと見たんだろうな。そんなことよりは私は水族館の件を相談することにした。

「私から言えるのはただママの大丈夫は大丈夫じゃないんですよ。」

「ってことは大丈夫じゃないわけだ。」

 なるほどと思い腕を組む。じゃあ行くしかないなぁ。

「そんなにママのことを考えるってことはもう好きになっちゃったんですか?」

 すぐそうやって好きという言葉を簡単に出す季星ちゃん。私、そんな簡単な女じゃないし。まだ好きになってないし、好きになる予定なんて……ない。

「季星ちゃんのママは私が小テストで0点取っても励ましてくれて勉強も教えてくれたし、寝癖だって直してくれる。ジュースの最初の一口だってくれる。私はそんな優しい咲夏ちゃんが困ってる時は助けたいと思ってるだけ。」

 だから違うのと彼女に訴えてかける。

「今はそれいいです。でも次会う時が楽しみです。」

 にこりと笑いかけられた。私のこれからを楽しんでるように見えた。その笑顔が咲夏ちゃんに似ててなんだか……思わず目を細めてしまった。

 


 日曜日となり私は水族館に来ていた。今日は学校の時と違って髪型もなかなかいい感じでセットしたかった。だけど季星ちゃんと遅くまでゲームをしてしまったから寝坊してしまった。前髪の寝癖が酷かったので前髪を全て帽子の中にしまい、おでこを見せるように白い帽子を被った。服装はワイドパンツとTシャツ。

 時間は11時。営業が始まってから1時間ぐらいかな。チケットを払って入り口のすぐに小さい魚達。

「可愛い。」

 カクレクマノミだっけ?こういうの飼って育ってみたいなぁ。しばらくずっと見ていたら、私の目的を思い出し、首を振る。

 咲夏ちゃんの様子を見に行くことだった。茜ちゃんに連絡して私も行く旨を伝えるのも手だったんだけど、男子と一緒にいるのやだし。

 咲夏ちゃんが楽しそうだったら帰ろう。しばらく歩いてみると茶髪男と茜ちゃんを見かけてた。バレないように近寄り、2人の会話を聞くことにした。

「はぐれちゃったな。」

「そうだよ!早く咲夏を探さないと!」

「まぁまぁ、ゆっくりみようよ。」

 なるほど。今はあの黒髪と咲夏ちゃんが2人なわけな。大丈夫かな?探さないと。私は2人から離れ、咲夏ちゃんを探すことにした。

 

 


 


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