デウス・エクス・マキナ?

第42話 折れた魔女ホーキ

いろいろな出来事が連続して混乱してきた。

状況を整理しよう。

まず現状。解決すべき課題。


①俺が全裸最弱放置されてた件の原因究明・最弱からの脱出

②ケント市付近に出現した「異世界からの来訪者」が意図的に死ぬように誘導されてた件の原因究明

③ケント寺院に貯蔵されていた大量の呪い武器を最終処分場(火山の火口)に運ぶ

④戦死した衛兵さんの遺品を遺族に届ける(保留中)


②は実行犯を逮捕済。救援のため来るであろう実行犯の同僚を取り調べたい。

そこで①も解決できるかも。

強力な呪いアイテムで派手に電撃や炎をぶっ放して強いアピールしている俺だが、実際はその辺の酔っ払いに殴られただけで死ぬくらい、ムチャクチャ貧弱!貧弱!なのだ。ステータス値が無いし、スキルも無い。魔法も使えない。

安全なトーチカから呪い武器で遠距離範囲攻撃して魔物の群れを殲滅するのは可能だが、対人戦なら一撃で死亡する自信がある。

っていうか、いくら魔物を殲滅しても一切レベルアップしないから弱いまま。

つらい。つら過ぎる。

③の任務をこなして呪い武器を処分すれば、俺は単なる弱いお兄さんだ。

ハッタリで強いフリをしているだけの、ダサい弱者だ。自称聖騎士の弱者。

マジでツライ。

ステータス値が無いせいで「呪いの武器に呪われない」というメリットがあるが、弱すぎるんだよ!なんとか、一般人レベル程度でいいのでステータス値欲しい。

かっこいいスキルのひとつも使ってみたい。レベルアップする楽しさを味わいたい。

せっかくゲームみたいな世界に来たんだから、ゲーム的に楽しみたい!


…さて、飛行船がやってくるのを待つ間、どうするか。

町の守備隊や、護衛のチーザーやガンセキは現在魔物のドロップアイテムの回収作業中だ。元聖女で教祖のカイは、「神の使い」クソ魔女の取り調べ中。

斥候アニキが周辺の監視をしてくれているから…俺は何をすればいい?


とりあえず、例のクソ魔女が乗ってた魔法のホーキでも調べてみますか。

俺の遠距離殲滅攻撃を喰らって破損しているので機能停止…というか、ボッキリ折れてますな。

…よく見ると、元々継ぎ目になってるところが折れてるみたい。

素材のメタルを複数使っていて、継ぎ合わせた場所が弱点で折れやすいんだろう。

このメタル自体も謎だよな。

魔物のドロップアイテムとして魔物の体内からブッコ抜くわけだけど、人間の体内にもあるわけだ。おそらくステータス値やスキルや魔法のパワーの源泉がコレなんだろう。だから、魔物や人間が見た目以上にやたら頑丈で強力で、そして、俺はたぶん体内にメタルが無い。そして弱い。

この魔法のホーキはナビ機能の他にレーダー機能もあるとか言ってたが、俺はメタル無しなのでレーダー探査対象外ってとこか。

…このホーキ、俺でも使えるかな?ナビとかレーダーとかだけでも機能復旧すれば便利なのだが。

ステータスプレートの探査機能の範囲って、目視できる範囲より狭いから全然役に立たないんだけど、このホーキのレーダー機能は範囲が「大陸」らしいからな。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る