第34話 二日酔いのため冒険はお休みです

カイが飲み過ぎで倒れたので、冒険の旅は一日お休みになった。

ヒーラー兼結界担当がアレではまあムリだ。

さて、ヒマになったので、ここまでの事を一旦整理してみよう。


まず、俺。溺れた小学生を救出しようとして川に流され意識を失い、気づいたらこのフラットアースという世界にいた。全裸で。

で。全裸でオロオロしていたら、ホーキに乗った魔女っぽい怪しい女が飛んできて、ステータスとかを表示できるプレートを落として、着地もせずに飛び去った。

せめて服くらい渡してほしかった。

あんときあの怪しい女、なんて言ってたっけ?

この世界にやって来る人間が他にもいるから忙しいとか?そんな事言ってた気がする。で、また来る、とか言って、それっきり来ないな、あいつ。


ここでわかる事は

①このフラットアースに人間を送り込んでくるヤツがいる

②それを管理しているヤツ(魔女っぽい女)がいる

③同時に何人もこの世界に来ている

④管理はかなりアバウト…というか、ザツである


あの魔女っぽいクソ女がまた来た時に聞こうと思っていた疑問が、ひとつも解消されていない。きちんとアフターフォローしろよクソ魔女モドキ。


あと、この世界ではソコソコな規模のケント市の、わりと権威のあるケント寺院の「聖女」と、寺院の一宗派『懐疑派』の「教祖」を兼務していたカイの言葉。

すごく参考になったが、彼女の話からわかる事。


①この世界の「寺院」には『主流派』『不可知派』『懐疑派』等の宗派がある

②神の使い(魔女モドキ)は『主流派』のところには降臨している

③創造主の何らかの意図によってこの世界は創造された

④…が、想定通りの世界にはなっていないと思われる


そして、トリセツ聖典だ。この内容と、この世界の住民から聞いた話を総合すると、以下のとおり。

①『記憶を失った冒険者が街にたどり着いた…』というトリセツ聖典冒頭の導入文章の通り、記憶喪失状態の人間(来訪者)が定期的に現れる

②元々の住民も来訪者も、例外無くステータス値を持つ

③人間と同様、魔物にも「突然現れる」魔物がいるらしい

④ステータスや魔法・スキルに関するトリセツ聖典の記述は正しい

⑤アイテム製造関連もおおむね正しいが、それ以外は現実との相違が激しい


さらに、そこからの俺の推測。

①ゲームシステム的な能力を実現しているのは体内に埋め込まれた「メタル」

②メタルを加工すると能力を持ったアイテムを製造できる

③…俺が死んだとして、俺の死体を解剖してもメタルは出てこない


ステータス値が一切無い最弱の俺は、何をどうしても強くはなれず一生最弱のままってこった。メタルを体内に移植すれば?

そんなこと可能なのか?

あと、あのクソ魔女が俺の所に来ないのも、位置追跡をメタルに依存している可能性。

初期出現地点を巡回して最初は俺に辿り着いたけど、その後俺の現在位置を追えてない可能性。

わからんことだらけだ。

とりあえずあのクソ魔女だ。

カイの話によると『主流派』のトコには顔出してるらしいから、どうにかしてとっ捕まえて情報吐かせないと。


あー、考えるのは苦手だ。

寝よう。

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