最弱聖騎士、敗走する!
第25話 死ぬ!全滅する!
俺たちは今、全滅の危機にいる。
草原を埋め尽くす膨大な数のゴブリンやらオークやらの群れ。
甘かった。脱出も不可能。このままだと全員死ぬ。
○○○○
俺は魔法もスキルも使えない最弱の男。
でも、呪いのアイテムを持ち運べる。
魔物を引き付けてしまうという呪いのアイテムを捨てるための旅を引き受けた。
運んで捨てる。余裕だろ。火炎や雷撃も出せるし…。
念のため雇った護衛に守られながら出発したのだが…出発早々、もう死にそうだ。
呪いの武器の、モンスターを引き寄せる能力を甘くみていた。
寺院の結界から出したらこうなるのか。
トイボックスに収納しても、漏れだす妖気は消せないか。
…凄まじい数のモンスターが、地平線のかなたから次々と集まってくる。
最初は何とか撃退していたが、これはもう無理だ。
周囲全てがモンスター。
装甲馬車の上に登り、神剣ヒノカグツチを振り回して、周囲のモンスターを焼き払いまくっているが、減る気配が無い。
俺「ドラゴンとか巨大モンスターが寄ってこないのが、不幸中の幸いか」
ナワバリが広大なドラゴンなんかは、互いに牽制し合っているため、早々動かない。
だが、無数の小型モンスターが厄介過ぎる。
どれだけの時間、戦い続けている?
神剣を振り回す体力すらも無くなってきた。握力がもう無い。
装甲馬車内に避難してもらっている護衛たちが俺に声をかける。
剣士・チーザー「聖騎士様、休んでください!」
ヒーラー・ハル「回復魔法を!」
格闘家・ガンセキ「我らが戦います!しばし休息を!」
いやあ、俺、ステータス値が無いせいか、回復魔法の効きが悪いんだよね。
HPゼロだし。
でも、俺もそろそろ限界。彼らに戦ってもらうしかないか。
俺「済まない。呪いの武器を使ってくれ!」
チーザー「あいさー!任せとけ!」
ガンセキ「承った!」
事前に打ち合わせておいた、ヤバい時の最後の切り札。
ここで使うしかないでしょ。
チーザー!使え!俺は妖刀ムラマサブレードを取り出し、投げ渡す。
チーザー「応!…これは…これはすげえパワーだ!」
妖刀ムラマサブレード。極めて強力な武器だが…呪われており、装備解除不可。それどころか、戦闘終了不可、という、厄介な呪い持ちだ。
敵を全滅させても、今度は仲間を殺し始める。周囲全てを滅ぼしたら、最期は自分を滅ぼしてEND。だが、その切れ味は凄まじい。
チーザーはムラマサを手にモンスターを斬りまくる。
次はガンセキの武器だ。ガンセキ!これを使え!
ガンセキ「承知!うおおぉぉぉ!」
拳闘士のグローブ。呪われた格闘武器。生命力を活性化し、無尽蔵の体力と闘争心を装備者に与える…が、戦闘終了後、生命力を使い果たし装備者は死亡してしまう。
俺「チーザー、忘れるな!周囲の敵を殲滅したら、ガンセキの両腕を斬り落とせ!」
チーザー「応!」
ガンセキ「頼んだ!」
俺「そしたらアニキ!チーザーの藁人形の、両腕を切断!」
アニキ「わかった…」
チーザー「すまんな!」
俺「呪いの装備に触れないように腕から外して、最後、ハルがふたりの両腕をくっつけて!」
ハル「まかせて!」
俺「頼むぜ!呪いの装備は捨てていい!あとはアニキが馬車を操って、全速で移動な!」
これで俺は休む。
ハル「これは、私の故郷に伝わる、疲労回復の薬草…」
おお。魔法やスキルは効かないが、コレはキクな!
ってか、コレ麻薬じゃね?まいっか。非常時だし。
少しだけ休む…ここで意識が途切れた。
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