第24話 馬車の車内にて。最弱からの脱却なるか?

俺専用に作られた装甲馬車。

メタルにはあまり興味が無いガンセキ氏に馭者をまかせ、残りの護衛チームメンバーに質問タイム。


俺「異世界からこのフラットアースに来て、すぐにケント寺院に就職したから、こっちの常識に疎いんだけど…」


彼らから得たメタルに関する情報。

①人も魔物も、例外なくメタルを体内に保有している。

②魔法やスキルやステータス値はメタルを起点に発生する。

③人も魔物も、メタルを失うと必ず死ぬ。

④取り出されたメタルは特殊能力を保有するため加工素材となる。

⑤異世界からの来訪者も、必ず保有している

 …が、記憶喪失のためメタルに関する知識は持っていない。


彼らから得た来訪者に関する情報。

①異世界からやってくる人の事を来訪者と呼んでいる。

②全員が記憶喪失の状態で現れる。言葉はわかるが過去の記憶は無い。

③こちらの人間と同様に、魔法やスキルやステータス値を持っている。

④しかし、本人は自分の能力を全く把握していない。

⑤来訪者の到来は神から寺院へと伝えられる。寺院は迎え入れの準備をする。

⑥来訪者が発見された場合、寺院でこの世界に関する知識の講習会を実施している。


俺が草原で放浪していた事とか、寺院で講習会受けてない事とか話すと、寺院所属のハルが「ケント寺院の怠慢です!」と怒っていたが。

たぶん怠慢じゃないと思う。


ここまでの情報からわかる事。

おそらく、俺の体内にはメタルが無い。


以下、来訪者に関する憶測。

①神からこの世界に送り込まれた「来訪者」にはステータスプレートが与えられる。

②体内のメタルとステータスプレートがあれば、安全は確保できる。

③付近の寺院には来訪者情報がお告げとして通知され、捜索される。

④来訪者を担当して管理するのが、あの魔女みたいなヤツ。

 プレート渡したり寺院まで誘導したりしている。


そして、俺に関する憶測。

①俺も一応「来訪者」としてステータスプレートが与えられた。

②しかし体内にメタルが無いため最弱。理由は不明。

③付近の寺院に来訪者(俺)到来情報は届いたが、メタルが無いため捜索不可。

④俺、自力で最寄りの寺院に到達。珍しい「メタルなし」と判明。

 こりゃ利用価値バリバリありますな!最大限に利用しましょう!

 いまココ。


あの魔女みたいなヤツも、この世界に送り込んだ直後は転送ポイントが固定のためプレートを渡しに来れたが、以後はメタルが無いため俺を追跡できなかったんだろう。


うーん。

まあ、どうでもいいんだけど、俺、やっぱ世界最弱なんだな。

原因は深刻なメタル不足。

ま、前向きに考えよう。

逆に考えるんだ!

メタルをどうにかして移植できれば、俺にも魔法やスキルが使えるようになる!

最弱から脱出できる!


今の「呪いも魔法もスキルも効かない状態」を生かした任務が終わったら、メタル移植で俺も強くなる!

ヨシ!これが俺の次の目標な!


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