第8話 HP:ゼロでも頑張ってゴブリン狩り
上司犬氏の厚意で関所の小屋に泊めさせてもらい、翌朝、街の様子を確認に行った。
ゴブリン軍団は
戦闘による城門の封鎖は解除されており、俺は
門番に「プレート」の表示がおかしい事を指摘されたが、上司犬氏の名前を出したら通してくれた。
ゴブリン大部隊撃破の大勝利に、街は
「オー!ファンタジー!」
通行人の人間族は日本人顔でアレだが、犬人族の通行人がいっぱいいてザ・ファンタジー!
今の俺は定番のノーマネーなド貧民状態なので、ここは金策!
異世界ハローワーク、ギルド窓口へGO!
窓口でもプレートの表示がおかしい点を指摘されたが、とりあえず上司犬氏から紹介された「ゴブリン死体運び」「ゴブリン素材剝ぎ取り」等の「身分証ナシでもできる日雇い仕事」をこなして現金を入手。
素材の「メタル」で武器や防具が作られるそうな。
俺、普通に現地労働者に
ここでも雑談で情報収集。
日も暮れ、街の宿屋で一泊することに。犬人族の「犬形態での宿泊」を前提とした「犬小屋」スタイルの宿屋が一部のマニアに人気らしいが、どうでもいい情報だ。
普通の宿を探す。
人の死を見て、獣を殺し、獣の死体を解体しても、食欲が落ちず腹が減る。確かに俺は生きている。ゲームではない。
屋台で焼き芋を買い食いして、身分証ナシでも泊まれる簡易宿泊所で一泊。
翌朝、ギルドカウンターで話を聞くと、ゴブリン残党狩りの仕事があるらしい。
討伐部位提出のみが要件らしく、身分証ナシでもOKっぽいので請ける事にした。
衛兵氏の
衛兵氏の遺品である長剣を片手に、ゴブリン残党目撃情報があった森を目指す。
プレートで位置確認。赤点。
いた。「警戒心が強く、すぐ逃げられてしまう」と情報があったゴブリン残党だが、俺が近づいても反応が無い。
遠慮なくどんどん近づく。
やっぱりな。俺がズカズカ歩いて接近してもゴブリンどもはノーリアクション。
「ヤツらはステータスプレートのステータス値がゼロの相手は無視する」という俺の仮説は正しかった。
何らかの方法でヤツらはステータスプレートのステータス値を読み取って、脅威度を判定している。エラーで表示がゼロの俺は、ヤツらにとっちゃ空気なんだろう。
長剣を構え、ゆっくり狙いを定め、体重をかけてゴブ野郎の首筋を切り裂く。
ヤツは無抵抗のまま倒れた。
卑怯?
ああ卑怯だよ。俺は弱いからな。
どんどん行くぜ。透明ヒーロー参上!
俺は森に潜伏中のゴブ野郎どもを片っ端から殺してまわった。
仕事の合間に労働者たちから聞いた情報によると、こちらの人間は全員ステータス値を持っていて、エラーでHP:ゼロなんてありえない、とのこと。
だから、HP:ゼロ表示時の「モンスターから無視される」という俺の状況はかなり特殊なのかも。ゴブリンを倒したりしているとレベルアップしてHPも増えるらしいので、俺のこの「透明人間状態」は、今だけなのかもしれない。
だったら、最大限に利用させてもらうさ。
俺はゴブリンを探し、殺し、探し、殺し、を繰り返し、日没までに逃亡ゴブリンの群れを全滅させた。
討伐報告したら、いいカネになった。
ヨシ、鑑定してもらい、ステータスプレートを再発行してもらおう。
衛兵氏の遺族は隣町に住んでいる。移動には身分証が必要だ。
明日は鑑定依頼だ!
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