第6話 存在、出会いの思い出
それから数カ月が過ぎ、何事もなく過ごせていた。
「ねえ、雄史。もう数カ月以上は経つし代物の狙いの人達も諦めたんじゃない?」
「居場所が掴めてないだけだろう?油断はするな」
「………………」
そしてある日街に出掛けようとした時――――
「出掛けるのか?」
「うん…友達と出かけようと思って…駄目?」
「別に構わん。しかし周囲には気を付けろ!あいにく、俺は用事がある」
「そっか…分かった。気を付けるね」
「ああ」
私は出掛ける事にし、その日の帰りの途中の事だった。
「悠佳っ!!」
「えっ…?…今…雄史の声…」
私は周囲を見渡す。
しかし雄史の姿は見当たらず
次の瞬間―――――
グイッ ドサッ
背後から誰かが押さえつけ、私をかばうように、私の上に覆い被さった。
プシュン……
バリーーーン
ショーウィンドウの窓が割れる。
ビクッ
「…っ…」
「えっ…?雄史…?雄史っ!ちょっと雄史、大……」
「お嬢ちゃん!車に乗りなっ!」
一人の男の人の姿。
「えっ…?」
「雄史っ!大丈夫か?」
「…ああ…」
どうやら雄史と顔見知りのようだ。
私達は車に乗り込み移動する。
「雄史…大丈夫…?」
所々にある傷口が痛々しく、鮮明の血が滲み出ていた。
「…雄史…」
車はとある建物に移動し、応急処置をした。
「安心しろ!ここは敏腕医師がいる病院だ。必ず助かる」
「…あ、あの…ありがとうございます」
私は深々と頭を下げ、私は雄史の傍にずっといた。
「…雄史…」
目を開ける雄史。
スッ
私の片頬に触れる。
ドキン
「…雄史…良かった……ごめん……私…」
私は涙が溢れる。
「泣くな」
「だって…私…」
私は雄史の存在が
大きい事に気付いた
そして
私達の間には
違う繋がりが
いくつかあった事
―――そう―――
私達は
何度か
出逢っていたこと……
ねえ……
あなたは
気付いてた……?
その後、雄史は退院をした。
「退院おめでとう」
「ああ」
「ねえ、雄史は私と何度か会っていたの知ってた?」
「えっ?あの事故の時だけだろう?」
「…やっぱり…そうだよね…覚えてるわけないか…」
「例え会っていたとしても…俺は覚えていない」
「そう…だよね…ごめん…」
「いや…」
「ねえ…雄史…もう…恋はしないの…?」
「…さあな…」
「答えになってないよ…」
「…じゃあ答えよう…恋はしない…」
ズキン…
「そっか…」
私の想いは届かない?
あなたの中で
恋愛という文字は存在しない……
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