第4話 事件

「それじゃあ、悠佳、良い子にしているんだぞ」


お父様が言った。



「はい。ていうか小さな子供じゃないんだから大丈夫だよ」


「それもそうね」と、お母様。



私達は来月に会う約束をした。





そう――――




また逢えるはずだった……




でも―――





「只今、速報ニュースが入りました……ANA…航空……」


「…悠佳…この便…」




ガクッ スー


私は体を崩していく。



「…して…どうしてよ…今朝…別れたばかりなのに……こんなの……」





本来なら自家用ジェットで行くようにしていた両親だったけど、自家用ジェットが調子が悪く、急遽、航空便で行く事になったのだ。




「…悠佳…」




私は次々に涙が溢れてきた。





その日の夜――――




カチャ

私の部屋のドアが開く。





「………………」




「泣き疲れか……」

「…雄…史…」

「…起きていたのか?」

「ううん…目が覚めた…」


「起きていたではなく、起こされたという事か?それはすまない事したな」


「…大丈夫…突然の出来事に驚きを隠せなくて…夢ばかり見るの…だから何度も目が覚めて…」


「…人の死は、突然降りかかる出来事もあれば、病気で死を目の当たりにするのもある。人生は…何があるか分からないからな」


「…そう…だね…」






一週間後を過ぎたある日――――



「悠佳。学校遅れ…」



カチャ

私の部屋のドアか開く。





「お前…何して…着替えていないが何処か行く気か?」


「…うん…学校…行く気しなくて…」



「………………」





次の瞬間――――





プシュン



バリーーーン




ビクッ





「…何…?今の音……」




ポトッ


部屋に何かが投げ入れられる。







「………………」




雄史は、すぐに行動を取り空に何かを投げ同時に拳銃を出すと銃弾を放つ。





「悠佳っ!伏せろっ!」

「えっ…?」



ドーーーーン

空中で爆発音が響き渡ると同時に




グイッ


私を押さえつけるようにかばうようにすると私の上に覆い被さった。


爆風で屋敷が揺れる中



ドキッ




「…大丈夫か?」

「…うん…」





至近距離にある雄史の顔に胸が高鳴りドキドキ加速する。


見つめ合う私達。




《あれ…?何だろう?》

《こういう事は前にも…》




「…ねえ…雄史…」

「なんだ?」

「私に付き合ってくれる?」

「別に構わないが」



私達は離れる。



「…なんか…良いね…」

「えっ…?」


「…敬語抜き…なんて…なんか雄史に一歩近付けた気がする」




「………………」




「前に一回会った事あるのに敬語だから…凄く距離がある気がして……」


「仕事だ。お嬢様のボディーガードに敬語使わないでどうする?両親の目の前で、こうして普通に話せるわけがないだろう?お前は自分の立場分かってるのか?」


「分かってるよ…分かってるけど…他人行儀みたいな話し方は…」


「…悠佳、お前の気持ちは分かった。その前に一刻も早く荷物を持ってここを出よう」


「えっ?」


「両親との思い出の場所にいたいのは分かるが…危険過ぎる。今の状況から予測つくものは、ただ一つ。お前の命も危ない」


「えっ?だったら…死んだ方が…」

「…その考えは辞めろ!」

「…だって…」

「…お前は両親の分も生きるんだ!」

「そんなの簡単に言わないでよ!!私は…」




「悠佳…俺は何の為のボディーガードなんだ?俺は両親に雇われた身分だ。しかし、ボディーガード雇うという事は、両親はお前に生きてほしいからじゃないのか?」



「…………………」



「俺はお前を守る為に、ここにいる。だから生きろ!…それに…死ぬ時は一緒だ!」



「…えっ…?」



「お前が命を狙われる以上、俺の命も危険に晒される。お前は俺がいる以上、一緒に生きる事は出来る。だから…時間の許す限り一緒に行動して、出来る限り俺の指示には従って欲しい」



「…雄史…」



「お前は一人じゃない」





私達は屋敷を後に出る事にした。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る