第3話 ボディーガード
その後、私の元に一人の男の人が現れた。
「悠佳、お前に紹介しておきたい人がいる」
「えっ?婚約者とか言うんじゃ?」
「ハハハ…そういう事ではないから安心しなさい」
私は父親に連れて行かれるまま、大広場向かう。
ドキン
「紹介しよう。娘の……」
「紗伯悠佳さんですね」
「おや?御存知で?」
「はい。ちょっと以前、お会いした事がありましたので」
「となると悠佳も知ってるのか?」
「えっ?あ、うん…三影…雄史さんでしょう?前に私が車に轢かれそうになった所を偶然助けてもらって。その時、足を痛めてしまって……」
「あー、あの時か……。そうなると、これも何かの縁なのかな?いや、彼にボディーガードの依頼をした所だったんだよ」
「えっ?ボ、ボディーガードっ!?」
「もちろん、送迎含むボディーガードだ」
「ちょ、ちょっと待って!それって、運転手とボディーガードって事?運転手は私いらないけど?ボディーガードってどういう事っ!?」
「最近、身の回りで、おかしな事が起きているんだよ」
「えっ?」
「お前に何かあったら遅いから早目に手を打っておかないとと思ってな」
「そう…なんだ…」
「つまり、そういう事ですので宜しくお願いします。悠佳お嬢様」
「あ、はい…」
「近々、私達も屋敷を空ける事となる。その間、彼には一緒に住んで生活をしてもらうから」
「えっ!?」
「当たり前だろう?ボディーガードと運転手してもらうからには一緒に共有してもらわないとな」
その後、詳しく話を聞いた。
運転手とボディーガードに雇われた三影雄史さん。
紗伯家は、確かにお金持ちだ。
しかしお手伝いさんもおらず、専属コックもいるわけではない。
ましてや、運転手なんて尚更。
仲は良い家族だけど、食事は親子で屋敷のテーブルを囲んで食べた事はない。
両親は海外に行ったり色々な付き合いで忙しい。
日本に帰って来た時や特別な日など、外食して旅行に行って家族水入らずで過ごす。
それが、紗伯家のやり方だ。
私は自由気ままに生きて来て、好きなように過ごしてきた。
一般人が過ごすように普通の学校生活を送っらせてもらっていたのだ。
ファーストフードにも行くし、街に一人でショッピングだったり、友達とショッピングだったり……
お金持ちだからとか、お嬢様だからとか、そんな特別な扱いしてもらおうとは思っていない。
私は普通の生活がしたい。
ただ、それだけなのだ。
だから、今回に関しては、運転手とかボディーガードとかってありえない。
そう思っていたけど、今後、目に見えない何者かによって痛感する事件が起き、彼の存在の必要性を目の当たりにするのだった。
そして……
その後、両親は日本を飛び立ち海外へと向かった。
朝。
「何か変な感じ」
「えっ?何がですか?」
「今まで車で送迎してもらった事ないから」
「お嬢様でありながら送迎が普通じゃないんですか?」
「時間に縛られてるみたいで…それに…私はお嬢様とはいえ、お嬢様学校ではなく、一般の高校に通っているから」
「そうなんですね。珍しいお嬢様ですね」
「そう?」
私達は色々話をしながら学校に向かう。
突然の事で周囲も驚いているも、そんな事より、雄史の事を色々尋ねられ、羨ましがられた。
学校生活もみんなと普段と変わらない日々を送れていた。
その日の帰り―――――
「雄史」
「何でしょう?」
「寄りたい所があるんだけど寄ってもらえる?」
「はい」
私は説明をし目的地に寄ってもらった。
それから一ヶ月が過ぎ――――
「悠佳、お久しぶりですね」と、お母様。
「はい、お久しぶりです」
「相変わらず元気そうで何よりですわね?」
「はい。お陰様で」
私とお母様は久しぶりの再会に話が弾む。
次の日、お父様も帰宅し、家族3人水入らずで過ごすのだった。
その日の夜。
コンコン
両親の部屋を訪れる私。
「どうぞ、お入りなさい」と、お母様。
「渡したい物とは何でしょう?」
「これです」
1つの木箱に入った品物を見せられた。
かなり大切に保管されていたと思われる。
「これは先祖代々から伝わる代物なのよ」
「えっ!?代物?それをどうして私に?」
「あなたに持っていてほしいからよ」
「…でも…」
「大切に保管しておきなさい。良いね」
「うん…分かった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます