第99話 夏の水溜り

雨後の水溜り。戻ってきた日差し。夕暮れ前に、再び蝉が鳴き始める。水溜りにちょっとつま先を付けて飛び越えていく。小さかった頃も、こうして水溜りを越えたような気がする。流れていく銀色の雲。その向こうの青い空。電柱に巻き付く緑の蔦。あの頃と何も変わらない夏が水溜りの上を通り過ぎていく。

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