第98話 生死の輪郭

生きるということの輪郭がぼやけていく。そのうちこの体の輪郭もぼやけていくだろう。遠い昔の思い出が脳裏にこびりつく反面、ここ最近の思い出は頭の上を掠めもせずに通り過ぎていく。大人の階段を知らず知らず上るうち、命は溶けて足跡になる。ずいぶん高くまで上った。生死の輪郭もぼやけるほどに。

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