SS クロワ村のエヴァ

 ボクは、クロワ村のエヴァ。


 アクメランド連合王国の一部、ケベス国が敵国に侵略されて首都までが、陥落したと聴き、援軍が間に合わなかったのかと焦っていたが、どうやら国王は王弟殿下の領地に向かい周辺諸侯の軍勢を纏めている事がわかった。


 ボク達は直ぐにケベス国の国王の下に向って進軍すると、付いて直ぐに首都奪還戦が始まってしまう。長い距離を歩いて援軍に着たのに休息もなく戦場に赴く事になった。


 傭兵は、雇い主の言う事を聴いてれば良いだけの存在である。だが、王弟殿下の娘であるヴィヴィ様は、ボク達の事を気に掛けて下さっていた。


 何処の戦場に行っても、傭兵は良い対応をされないのは知っていたが、この国のヴィヴィ様だけは違っていた。兵士の士気が下がるから、休息させて鋭気を養ってからでも遅くはないと、国王陛下や周辺諸国の指揮官に説いていた。


 だが、戦場も知らない娘の戯言だとして、一蹴されてしまう。


 この時ばかりは、陣幕の片隅で息を殺して、軍儀を聞いているだけであったボクも息を飲み込む音を響かせていた。


「ですが、この者達も疲れたままでは、まともに戦う事も出来ませぬ。どうか陛下ご再考をお願いいたします」


「くどい、下がらせろ」


 その出会いが、ボクとヴィヴィ様の出会いだった。



 そして、パパン平原でヴィヴィ様を見かけた時には、周りの近衛兵も死に絶えて、一人だけで一騎駆けをしていた。


 ボクは彼女に死んで貰いたくなかった。


 だから、ボクはボクの部隊の者達と共にヴィヴィ様の後に続き、敵に突入するが敵の分厚い壁を抜く事も出来ずに、部下を無駄に死なせてしまった愚か者だ。


 気が付けばボクもヴィヴィ様も、檻に入れられており、戦争奴隷として敵国に送られる最中だと気が付く。


 運がない時は、何処まで行っても運が無い物である。


 護送中に魔獣の襲撃に合うとか、どれだけ運がないんだと自分を呪ってしまいたくなった。


 そして、荷馬車を脱出する事には成功したが、魔獣の襲撃でボクは足首を捻挫してしまう。とことん運に見放されたのだ。


 そしてヴィヴィ様は、助けを呼びに行ってしまわれ、残されたボクは木の上で寂しくヴィヴィ様の帰りを待つが、ヴィヴィ様は帰ってこなかった。


 そして、運が付きてしまい、違う魔獣がボクの上っていた木の下に集まってきてしまった。


 ボクは、もう駄目だと諦めてしまい、木から飛び降りて楽になろうかと思っていた時だった。


 微かだがヴィヴィ様の声が聴こえた。


 ボクは嬉しくなり、必死に声を荒らげ返事を返していた。


 そして。


 途中でボク達を見捨てて逃げたエルフは、見つけたら殺すと誓う。











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