第4話

そこからも僕がキャプテンを嫌だと思う機会は何度もあった。やはり貧乏くじなのだ、この役目は。


部員と先生に板挟みにされ疲弊していく日々はこれ以上ないほどしんどいものだった。チームがまとまっていなく、練習が無意味だと言ってなんとこれまで先生が3回も職員室に怒って帰ってしまったのだ。


そう、そしてこれが4回目...。

「どうするんですか、キャプテン。」


ユウキが尋ねてきた。正直今日の怒り方はいつにも増してひどかった。おそらく今日行っても許してくれないだろう。


部活動時間が終わりに近づいているのを見て僕は憂鬱なまま部活を終わらせた。


帰り道、心身共に疲れ切った僕は電車の席に腰掛けた。窓から見える大きな川に西陽がキラキラと鬱陶しく反射していた。


眩しく思いながら僕は携帯に目を逸らした。すると一件のメールが来ていた。メールは同じクラスのシオリからだった。


女子とは連絡を取らないのだがなぜかシオリとはメールのやり取りが続いていた。内容は他愛もないものだった。

「今日部活しんどかったー」

や、

「理科のワークってさ...」

のようなものばかりだ。


でもなぜか心地が良かった。シオリも同じことを思っていたりするのだろうか。


 来ていたメールの内容は

「部活お疲れ様〜!」

というもの。いつもならそこからまた同じような話が始まるが今日はとても心が参っていた。


そしてシオリにこんなメールを送った。

「キャプテンしんどいわ」

こんなこと言ってどうなるのかとは思ったが今は話を聞いてくれる人が欲しかった。

「チームまとめるって大変だもんね。でも投げ出さないのはオサムの良いところだね」


そう言われて少しだけ気が軽くなった。何か変わったわけではないが話を聞いてくれる人がいるというのは落ち着くものだった。


「でも残酷だけど、自分と向き合わないといけないときも来ると思うよ」

サトルのようなことをガラにもなく言いだすシオリに少し驚いた。


またひとつ僕は友達から何かを教わったのだろうか...。そんな気は正直しなかったが不思議なことに窓の外のキラキラと反射する光はもう鬱陶しく感じなくなっていた。

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