第250話 覇王と赤龍は鉄工所勤務
アーク歴1507年 参の月
アークトゥルス魔王領
一度トップに話が通るとガンガンと開発は進む。
師匠とベラさんとガクさんと、それに魔界の領主たちを招いてまた蒸気機関車の
そうこうしている間に線路はさらに延伸しており、今では総延長が10km程になっていたので反対側に作った駅までしっかり乗り心地を楽しめたと思う。
師匠と二人の魔王はそれぞれ側近も連れてきており、終始和やかなムードで試乗会は終わった。
まあ所詮は10㎞程度。
ゆっくり運転しても20分もかからず終わってしまうわけだが。
「で、うちの領まではいつ繋がるのだ?」
「我が領が先ではないか?」
「いや、儂の所こそこういうのが欲しい」
やんややんやと招致合戦がはじまった結果、ガクさんの所に一番に繋がるようになった。
何故か、というと答えは簡単。
ガクルックス魔王領にある鉄鉱山、それと…大魔王領の北にある炭鉱が目的だ。
大魔王領の北なんだから大魔王領の方から穴掘ればいいんじゃないのって師匠は言うが、とんでもなくどでかい山が間にあるので、ガクさんの領内からぐるっと回って行った方が近いんだな。
まあ俺的には大魔王量のほうから反対側まで山をくり抜いてもそのうち炭田につながるんじゃないかと思う。でもそれ言うとまた揉めそうだから言わないけど。
忍者部隊には以前から天然資源を色々と探してもらっていた。
ぶっちゃけて言えば石油を探していたのだが、燃える水を探している最中に燃える土が見つかったというわけだ。
で、炭鉱の方に新たに町を作り、駅と工場を作ってそちらでコークスにまで仕上げてもらって。出来上がったコークスを線路に乗せて出荷、という形にしてもらおうと思う。
炭鉱のある土地はガクさんの所とドレーヌ公爵領のちょうど中間くらい。利権でもめると嫌なので税は二人に半々で、だから協力して発展させてね。と言うと2人ともニッコニコだった。
何もしなくても儲かることが確定したようなもんだから、領主としては言う事が無いだろう。まあ街づくりは手伝わせようと思っているけど。
石炭は現代ではかなり用途が少なくなってきている。
日本じゃもう製鉄や発電くらいにしか使われてないんじゃないかと思うが、全盛期では蒸気機関をはじめ様々な用途でもちいられてきた。
石油登場前には石炭が産業の主役だったのだ。
で、今は石油。
じゃあ次は?って話である。
ってなわけで石炭と鉄を確保したい。
レールを作るのも車両を作るのも、大量の鉄が必要になる。
剣を一本作るのとレール一本とどっちが鉄が多いと思う?当然レールだよな。でもさ、この世界は鍬やシャベルに使う鉄の量であの値段なんだぜ…まあしょうがないんだけどさあ…。
鉄が高い理由は、もちろん鉄の需要が高いこと、鉄自体が採れないこと、それと重くて運べないので運搬に費用が掛かること…である。
ガクさんの所で鉄鉱石はいっぱい採れると分かった。
鉄鉱石が大量にあると言ってもそこから鉄を抽出するのは大変だ。
溶鉱炉や反射炉を作りまくらねばならん。
早急に炉を作ろうと思っていたが、何やかんやで高レベルの火魔法の使い手がいれば鉄鉱石を溶かし、鉄を抽出することが可能だと分かった。
そりゃそうだ。子供の頃のアカのブレスでも金や銀どころか岩も融けて溶岩になり、でろんでろんになるくらい流れてた。
今は当然出力も温度も上がっている。
高度な火魔法はコークスを超えたのだ。
という訳で溶鉱炉反射炉転炉ととにかく炉を作りまくる。
それが出来るまで、アシュレイとアカは鉄工所勤務になった。
ダンジョンと鉄工所を行き来する姫様&ドラゴンになったのだ!?(錯乱
ガクさんの所には沢山鉄鉱石が埋もれている。
一つの山が全部鉄鉱石みたいなところもあるらしいのだ。
そこに技術者を派遣して工場を作って鉄を作り、レールにしてアッチ側とコッチ側から敷いて行くことになった。
早く繋いで鉄鉱石をいっぱい供給してほしい。作りたいものはまだまだたくさんあるのだ。
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カイトはカイトで領主の裏で野良仕事をしています。似たもの夫婦??
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