閑話 第一回大食い大会
アーク歴1503年 玖の月
ヴェルケーロ領
「今月は収穫祭を兼ねて~~~大食い大会だああああ!」
「うおおおおお!」
体を大きくしないといけない。
やはり80層の巨人型ボスとの戦いは苦戦しかない。親父っぽい裸マントマンというだけで苦手なのに、おまけに大きくて速いのだ。
まあ速さ自体は負けてないが、パワーがまるで違う。
ちから255 と ちから60 くらいの差がある。
向こうははやぶさのけん装備でも俺の最強武器装備状態よりはるかに強いので…
まあそれはいいか。
とにかく、コッチも体を大きくしたい。
というわけでって事じゃあないが、今月のヴェルケーロ祭りは大食い大会だ。
試合時間は1時間に限定したが、収穫したての新鮮な野菜や穀物を使ったみんなの好きそうな料理。
『大人のお子様ランチ・超特盛』総重量5kgオーバーの一品を参加者の前に並べ、食べた総重量で勝敗を競う。
勿論食べきった後はお代わりもアリである。
体格によるハンデがあるので体重別にしようかと思ったが、大食いにそんなモン関係ないと師匠が言うのでハンデ無し、無差別級のみでの開催である。
「では選手紹介です!1番!我らが領主、カイト様!」
「「「うおおおおお!」」」「「「きゃああああ!カイト様あああ!」」」
野太い声に混じって黄色い声援も聞こえる。
フッ、俺も罪な男になってしまった。
「続いて!2番!ロッソ選手!」
「「「「「うおおおおおおロッソ様あああ!」」」」」「キャー!ロッソ様!」
ロッソは野太い声援が物凄く多い。
一部熱烈な女性の声もあるが、俺の方が多いな。ふふん。
「3番!ベロザ選手!」
「「うおおおお!」」「「「「「「「「きゃあああああ!ベロザ様!」」」」」」」」」
ええ!?あいつ何でこんなモテモテなの!?
ふっ、まあどうせ声援送ってんのは樽より大きいトロルちゃんだけだろ…ってえええ!?
何とベロザに声援を送っているのは可愛い女の子ばっかりだった。えー?どうなんそれ?
ちょっと俺落ち込むわ。
こんなかわいい感じで将来有望なのエルフの俺よりでっかいトロルのベロザの方がモテモテとかさあ。何なんだよこの世界は!くっそ!
「4番!シュゲイム選手!」
「「「団長!頑張ってください!!」」」「あなた!がんばって!」「ぱぱ~!」「ばぶー」「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ぎゃあああああシュゲイム様あああああ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
あっ(察し
やっぱりイケメンはどこの世界でも強かった。
まさに桁違いだったわ。
シュゲイムの後にも参加者は沢山いたけどみんなそれほど応援も無かった。
まあ、アレと比べるとな。ちょっとな。
俺もアレの後じゃなくてよかった。
何だよ美人の奥さんに可愛い子供×2って。
それに部下にも好かれてるし、おまけに女の子からも応援されまくり。
クッソ!
絶対あいつには負けねえ!ちくしょう!
俺は必死で戦った。
修行中なんか話にならない程。
ダンジョンでの探索だってこんなに頑張ったことは無い。
腹がちぎれるか、それとも上から噴水するか。
どちらが早いか勝負だ!ってくらいの勢いである。
くそう、食べ物をサクッと消化する魔法でも開発するべきだったか。
でもそうしたらいっぱいウンコが出る。
上から噴水じゃなくって下から土石流になるだけなのだ…チクショウ!
俺のお子様ランチは2/3ほどは既に食べ終わった。5kgの2/3である。
中々健闘していると思う。でもここで完全に止まっている。
右手にある箸も、スプーンに持ち替えて見ても全く動こうとしない。
完全にボイコットしているのだ。
周りを見るとロッソはお子様ランチ1個半、ベロザは何とか1個目を食べ終わろうとしている所。
そしてライバルのシュゲイムは1個目の半分ほど。勝った!いや、今のところ勝っている!
他の参加者はすでに涙目になりながら食べている者がわずかにいるのみで、もうフォークが止まっているのがほとんどである。
「各選手、もうほとんどがフォークが止まっています。どうなさいましたかカイト様?もうお腹いっぱいですか?諦めちゃうんですか?今のところ下から数えた方が早いですよ?」
「…まだまだやるぞ!どらああ!」
司会をしているのはマークスの孫のレリラちゃんだ。
とってもかわいい娘さんだが、中々煽りが厳しい。
どらあああ!と言いながら口に運んだのは大ぶりのスペアリブ。
トロットロに煮込んであってサイコーに美味い。美味いんだけど今食うと何食っても…もったいないなこれ。大食い大会は次から廃止にしようかな…
考えながらチビチビと齧る。
最初の勢い?そんなモン続くわけねえだろ。
最早優勝などどうでも良い。イケメンにさえ勝てばそれでいいのだ!
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