第174話 凹凹(ボコボコ)
アーク歴1502年 玖の月
久遠の塔
並み居る巨人たちをバッタバッタと薙ぎ倒し、79階まではまた順調に進んだ。
そしていよいよ80層。
80層のボスは災厄の巨人と言う名のモンスター。
モデルとなったのは過去に居た巨人族らしい。
ってのをどこかで見たことがあるような気がするんだけどどこだったかな。
本で読んだのか、師匠に聞いたのか。
うーむ???
「まあいいか。アカ、ボスは強いらしいからやべえと思ったらこれ使うんだぞ」
「おー?」
アカと二人、帰還のための『身代わりの護符』を握りしめて門を開く。
現れたのは…
「親父…か?」
「だれ?」
「俺の親父?あれ?でも親父よりデカい?」
過去に居た人物ではなく、俺の親父だった。
いや、実際に居た人物なのかもしれん。親父のそっくりさんとか。
装備も大体同じで裸マントマンである。
ただしデカい。
幾らオヤジでもそりゃねえだろってサイズに巨大化されている。
ガン〇ムかウルト〇マンかってくらい大きかった75層のボスほどではないが、5m以上くらいはあるだろう大きさだ。十分デカイ。
ベロザやロッソよりはるかに大きい。
マンションの二階のベランダよりは高い位置に頭があると言えばいいだろうか。どうすりゃいいんだこれ。
見れば見るほど親父っぽい裸マントマンだ。
違うのは体の色と髭の形、それと全体の大きさくらいに見える。
むしろ大きい分より強化されているような…
ただし、武装は持っていない。素手である。
それだけが救いか。
「うーん、これで素早さも親父なら勝ち目ねえぞ」
「おれひとりでやってもいいぞ!がおー!」
「あっ!バカ!」
どうやって戦おうか考えているとアカがいきなり火球を吐いた。
親父の顔面に直撃するかと思った火球は、ヒョイっと軽いステップで避けられてしまった。
やばい、あいつかなり素早いぞ。
アカの火球は時速何キロかは分からないが、200~300km/hくらいか、あるいはもっと出てる。
試しにバットで打ってみようと思ったら当てるのが精いっぱいだったもん。
今の俺は人間だった時代よりはるかに動体視力も良くなっている。
ハエや蚊を箸で掴むなんて朝飯前だ。その俺が当てるのもやっとくらいだったのだ。
んで、クソでか巨人はそのブレスを軽く避けた。
距離がそこそこあるとはいえ…ヤバいな。いかにも強そう。
というか、俺は見た目の時点ですでにビビッている。
やばい。親父に勝てるイメージが無い。
裸マントのくせにすげえ強そうにみえる。畜生!
そして相手はアカの火球のおかげでズンズンとこちらに向かって歩いてくるのだ。
アカン。やるしかない!
「ええい!ままよ!行くぞ!」
「おー!やってやるぞー!」
俺は懸命に戦った。
必死に足止めをし、斬りつけ、弱点を突こうとした。
だが、俊敏に回避され、或いは防御され。
纏わりつかせたはずの木は引きちぎられ。
アカの火球は避けられ、或いは叩き落され。
そして爪や牙での攻撃は俺と同様に回避、防御…
つまりは二人ともほぼ何も出来ずにボコられたのだった。
まともに当たったのは2発くらいで…ダメージはちょっと通ったかな?って程度。
こちらが喰らった攻撃は数知れず。
親父の幻影はまるで遊んでいるような有様だったのだ。
こんなのどうにもなんねえだろ。どうしろってんだ!
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