バチアタリ【3】

 翌朝。

 あの男子生徒は剣八郎にたたき起こされるも、まったく足が動かないことにがく然とし、「自分が神社を荒らした犯人です」と泣きわめいた。


ばちが当たったんです!! だから足が動かなくなったんです!!」


 救急車が到着するまで、男子生徒は剣八郎にそう訴えていた。



 後日。男子生徒の両親が菓子折りと修繕費を持って、剣八郎に謝罪をしに来た。

 彼らから聞いた話だが、陸上部のエースだった男子生徒は足がまったく動かなくなってしまったことで夢を絶たれ、一生車椅子生活を送ることになった。

 ただ不思議なのは、両足の骨が折れたり、けんが切れたなどの怪我けがは負っていないという。

 それなのに、足が動かなくなってしまった。

 たくさんの病院をまわっててもらったが、どの医者も同じ回答だった。


――オマエノ足ヲモラウ。


 それは物理的に足をもらうのではなく、相手の将来に関わるもの(今回の男子生徒の場合は、陸上選手という夢)を奪うということだ。

 もし、これが視力だったら。或いは全身であったなら……。


 死よりも恐ろしい生き地獄だ、とタマは思った。

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