私がその町に行く理由

 おかしい。

 絶対におかしい。


 彼のいる町を目指しながら、私は電車にただ、揺られている。


 猫田君は約束を破る人じゃない。

 いつも無理してまで、守ってくれる。

 それに、朝晩、律儀におはようとおやすみを言ってくれる。

 メッセージだったり、電話だったり。


 未だ自分の送ったメッセージに既読がつかないことが心配で、待っていられなくなった。


 それなのに、昨日の夜からない。

 朝も。

 約束の時間になっても、何もない。

 私が夜起きてたら、気づけたかもしれないのに。

 病気とか事故とかで倒れている……。

 なんて、考えたくもないのに。


 スマホを握りしめ、祈るように目を閉じる。


 猫田君に、何もありませんように。

 もし、もし何かあるのなら、私に出来ることは何でもします。

 だから、神様。

 どうか、猫田君をお守り下さい。


 目を開ければ、眩しい光が両目に痛みを与えてくる。

 けれどそれが神様の答えのように、私には思えた。

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