第2話
さて、今は日課の筋トレをしている。高校を卒業してからは異世界に召喚されることはほとんど無くなったが、またいつ飛ばされてもおかしくはない。筋肉の足りない友人も多いが、自分とは違って魔法や陣法が戦闘スタイルに組み込まれているのだろう。何より筋肉は全てのことに役立つからな。
ということで、今日も「分け身の魔法」を使って複数のぼくたちで部位ごとに筋トレを続けている。もちろん合間の魔法の研究も忘れない。
「分け身の魔法」が主に「負傷」、「劣化」、「再生」、「再現」、「増殖」、「変化」から構成されているのは周知の事実だと思うが、案外分け身を使った後にその経験が全て一身に蓄積されることを知らない人も多い。
数多くの学びを得ずに多様な異世界をどう生き抜いているのか。やはりまだぼくは未熟であるのだと思う。
元が自分だから分け身を使うとどれが本質か分からなくなることがあるために「劣化」の特性を組み込んでいるのだが、自己判断でこの特性が消せることも周知されていることと思う。
今日は精神の修行も兼ねて、「劣化」の特性を外して修行をしているが、これは実によい修練の方法だと思う。確かに他の分け身と本体との差が分かりにくくなり、全てを管理するのが飛躍的に難しい。
「分け身の魔法」の理論について話すとき、「劣化」の部分で反応が悪いのはやはり、他の人はこれを排除している人が多いのかもしれない。
これを顔色一つ変えることなく操るとは...やはりぼくはまだ未熟である。
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「あそこの兄ちゃん、なにやってんだいあれ」
「なんか増えてるように見えるけど気のせいか?」
「気になって儂話しかけたんだけどよ。『分け身の魔法を使いながら人に話しかけられるほど熟達しているのか...やはりまだ修練が必要だ』とかちょっと気味が悪かったから近寄らんと気にせん方がええかもしれん」
「ああ、今日は早めに帰ろうかい」
変わってるとは言われますけど 酔いどれムカデ @honedachi
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