ウソカホントカ

雄蛾灯

第1話

「私と付き合ってください」

 僕は生まれて初めて女の子から告白をされた。最初は何かのドッキリかと感じたが、僕の人間関係は片手で数えられる程度だった。

 しかもその女の子は、僕がクラスで一番顔が好みな国崎葵さんからの告白のダブルパンチ。

「え?国崎さんって僕と面識ってあったっけ?」

僕は国崎さんに聞いてみた。

「面識なんてないよ」

 僕の問いかけに、国崎さんは嘘偽りのない返答をした。

「じゃあなんで、僕に告白してくれたの?」

 未だにこの状況を信じられない僕は質問を続けた。

「う~ん、一目惚れって言うのかな。何か最初に見たときになんか好きになってた。」

 おかしい。漫画やアニメじゃあるまいし、こんな馬鹿げた状況があってたまるかよ。

「でも、俺なんか超絶イケメンでも何でもないよ?」

僕の質問責めが続く。

「君の顔が私好みだったからじゃダメ?」

「いや、寧ろ嬉しいけども…」

 生まれてこの方、男の家系で生まれてきた僕からすると、女の子に対する免疫が無い。どうしても脳裏に、僕に対するいじめが浮上してしまう。

僕のこの疑り深い性分が嫌いだ。こんな性格じゃなければ、国崎さんと普通に付き合えるのにと考える。

「ごめん、やっぱり僕と国崎さんとでは付き合えないよ…」

 僕は国崎さんの顔を見てキッパリと言った。

「そう…君がそう言うなら諦める。ありがとね」

 そう言うと、国崎さんは後ろを振り向き、一目散に教室を出ていった。走り際に彼女の目が潤んでいたのは、僕でさえ分かった。




 数日後、国崎さんの訃報があった。後日聞いた話によると、家庭環境がかなり荒んでいたらしく、心の拠り所が誰もいなかったとのこと。

 もう終わった事だから詮索するのは辞めておこう。でも、これが夢であってほしいと思っている。

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ウソカホントカ 雄蛾灯 @yomogi_monster

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