イヴ☆イヴ
雄蛾灯
第1話
いずれ、イヴは処理されるであろう。もしくは。
あと二年も経てば、イヴは体長六十メートルを超えるイヴ☆イヴになるであろう。
毎回この時期になると、何千ものイヴを毎回処理しなくてはならない。そしてこの「雌イヴ」も例外ではない。
しかし正直なところ、我々には「雌イヴ」一匹を養う余裕などない。休憩中のクリスはため息交じりに呟いた。
「もうこの時期かぁ・・。こんなにも可愛いのに」
いつもイヴを処理しているクリスからして見れば、イヴを処理をすることに何も抵抗はなかった。しかし、この「雌イヴ」は千年に一匹の逸材である存在である。この存在を消してしまえば二度と生まれることはないだろう。
だが拒否をすれば、この道生きていたクリスは職を失い、幸せだった家族との間にヒビが入ってしまう。
そんなクリスを横目に「雌イヴ」は、ズボンの裾を引っ張って遊んでいる。この曇り一つの無い純粋な表情が彼を余計苦しめた。
すると同僚のマスキンが肩を叩き、話しかけてきた。
「お前の気持ちは分かる。何を選ぼうが俺は否定はないネ」
ふと、クリスが「雌イヴ」を見ると、星の玩具で遊んでいた。「リアジュシネ!」と鳴き声をあげると、星の玩具を投げた。
マスキンが職場に戻ると、クリスは独り呟いた。
「マスキン、やっぱ俺家族大事だよ」
白い寒空の下、雌の慟哭が寂しく響いた。
十二月二十五日クリスマス。クリスは家族と団らんと過ごした。
イヴ☆イヴ 雄蛾灯 @yomogi_monster
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