第4話宇宙刑事オリハルコン
触手人間28号に改造された僕は身体能力と五感がかなり上昇したようだ。
研究所内を慎重に歩き、人の気配を感じると天井や壁ぎわに逃げて、なんとかしのぐことができた。
そしてどうにか外に出ることができたのだ。
人にみつからないように歩き、僕は自宅を目指した。
何日、家に帰っていないだろうか。
皆目見当がつかない。一日なのか、一週間なのか。僕はどれほどあの研究所にいたのだろう。
ほぼ勘だけをたよりにあるいているとどうやら見覚えのある景色が見えてきた。
そこは学校近くの川沿いの道であった。
この道はよく体育会系の部活がロードワークに使う道だ。
運良く、人の気配はしない。
僕は見慣れた景色が視界にはいり、どこか安心した。
高校から自宅までは歩いて約三十分ほどだ。
バスにのれば五分もせずにつくことができるが、こんな姿では公共交通機関は利用できない。
僕は仕方なく歩くことにした。
改造されたせいか、かなり歩いたはずなのにそれほど疲れていない。
人にみつからないように歩いていたのに突如、僕の目の前に何者かがあらわれた。
それは
「三日ぶりね、金剛君。まさか君がシャドーアレキサンドライトの改造人間になっているなんて。かわいそうな姿にされて。そんな姿になって生きていくのは辛いでしょう。私が人間としての最後を与えてあげるわ」
折原涙は言う。
なんだ、なんだ。彼女は何を言っているんだ。たしかに彼女はあわれむような目で僕を見ている。
僕が触手人間28号になったことをかわいそうとおもっているのか。
彼女の言うとおり、あわれな姿かもしれないがまだ僕には僕という自我が残っている。
それに人間としての最後ってなんだ。
僕があれこれ考えていると折原涙は右手を空にかざす。夜空がカッと開き、目を開けていられないほどの光が彼女をつつむ。
眩しさに目をほそめながら、僕は見た。
一瞬ではあるが折原涙は素っ裸になった。
たゆんと揺れるHカップのおっぱいが見えたと思ったら、すぐに黄金色の未来的な鎧につつまれる。そうだ、あれはメタルヒーローだ。
「宇宙刑事オリハルコン参上!!」
折原涙はそう名乗る。
「サンブレード!!」
折原涙の手には鎧と同じく金色の刃を持つレーザーブレードが握られている。
彼女は流れるような動作でそのレーザーブレードを僕の胴体に突き刺した。
えっ僕の体がその光の剣によって焼かれている。周囲に焦げ臭い匂いが漂う。
それに信じられない激痛が走る。
やばい、このままでは死んでしまう。
すでに首から下が炭のようになっている。
どうにかして逃げねば。
僕は首から下を切り離した。
血管を触手にして、切り離す。
必死だったが、こんなことができるとは。
僕は首だけとなり、全速力でその場所を逃げ出した。
必死になって逃げたかいがあって自宅のマンションにたどり着いた。
そのマンションの玄関に姫野真珠が立っていた。
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