第3話触手人間28号

黒井水晶くろいくりすは僕に近づき、体をべたべたとさわりだした。

な、なんだ突然。

あっでも触られてちょっと気持ちいい。

「やっぱり私の見込みどおりね。いい体してるわね」

黒井水晶くろいくりすはぼさぼさの前髪をかきあげる。あれっ意外ときれいな顔をしている。もっと髪を整えたらいいのに。

「ねえ、君は今の生活をかえたいのよね」

黒井水晶は言う。

「ああ、そうだよ。今の屈辱的な生活をかえたい」

僕は言う。

「あら、私には楽しそうに見えたけど。まあいいわ、なら私が手助けしてあげる」

そう言うとなんと黒井水晶は僕にだきついた。あっ巨乳があたってこれは柔らかいぞ。

「やっぱりいいわね、この体。これなら改造手術にたえられるわね」

うふふっと笑う黒井水晶。

あれっ目がいっちゃってるんですけど。

僕が疑問に思っているとぶすりと首に激痛が走る。

黒井水晶が右手で僕の首に馬鹿デカイ注射を刺した。

ちゅーと中身が僕の体に流される。その瞬間、僕は意識を失った。





目が覚めて最初に目に入ったのはまばゆい電気の光だった。

そして僕をのぞきこむボサボサ髪の白衣の少女。髪をかきあげて僕をみつめる。

「手術は大成功よ。あなたは無事、怪人触手人間28号になったの」

黒井水晶は言う。


彼女は何を言っているんだ。

うん、体がいうことをきかない。両手両足が鉄の手錠で手術用のベッドにつながれている。

僕が手足を見るとそれは蛸のような触手になっていた。なんと僕の両手両足は気味の悪い触手に改造されていた。なんてことをしてくれるんだ。

「この触手から分泌される体液は女性を何千倍もの快楽に導くことができるのよ。あなたはこの力で私たちシャドーアレキサンドライトの宿敵を葬りさるのよ。さあ、最後に洗脳手術をしてあげるわね」

鼻歌を歌いながら黒井水晶くろいくりすはまたあの馬鹿デカイ注射器を手に持つ。


くそ、こんな趣味の悪い体に改造しやがって。おまけに洗脳だと。

おまえなんかの言いなりになるものか。

僕は指先に意識を集中させた。

人差し指の部分の触手がビヨーンと伸びた。まるで鞭のようだ。

僕はそれをしならせ、黒井水晶くろいくりすにむかって放つ。

みごとその触手の先端が彼女の口にはいる。


くらえ!!


僕はさらに触手に意識を集中させる。

そこから粘液が発射され、黒井水晶の口にそそがれる。

「ひいぃ、らめえ……」

黒井水晶は白目をむき、ばったりと後ろに倒れる。


僕が両手両足に力をこめるとなんとか手錠をこわすことに成功した。

黒井水晶の巨乳にのるIDカードをむしりとる。

彼女はひくひくとけいれんしている。


両足がうねうねしていて歩きにくい。

けど、僕はそれを滑らせて移動することに成功した。

IDカードをドアのところの読み取り口に当てるとギーとドアが開く。

僕は迷いながらもその研究施設からの脱出に成功した。

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