【38】bullet
永児と健流には源三郎と春満が付き、蓮奈と灯には三生と菜乃花と晶が付いた。
剣芯も遠巻きながら、新入生たちの様子を眺めている。
「まずは胴体部分から体を入れてくれ。ゆっくりな」
源三郎の指示に従って、永児は開いているVアーマーの胴体部分に体を滑り込ませ、臀部を置くシートの上に跨いで座った。
「それじゃVアーマーの脚に自分の脚をくっつけるように添わせて。足の裏が付く部分があるだろ?
そこに足をかける。そうそう、そこが乗り手の脚を踏ん張らせる部分になるから。
そして脚部分のパーツにあるベルトを、自分の脚に巻く」
右脚の付け根あたりにある黒いベルトを巻くと、カシャカシャと機械音が鳴り、いくつかのパーツが複雑な動きで伸びて永児の脚がVアーマーの装甲に包まれた。
「おお!勝手に装甲が出てきた!」
「身体のサイズにはVアーマーの方がある程度自動で調整してくれるから。
よほどデカすぎる人間でない限り、乗れないなんてことはないよ」
入学式の日に源三郎から聞いたVアーマーの高さは2m30㎝。確かにそんな大きい高校生がいるとは思えない(外国なら2m級の奴らはうじゃうじゃいそうだが)。
「よし両脚できたな。次は後ろに安全ベルトがあるから、それを引っ張って上半身に巻く。そうそう」
安全ベルトは車の座席に付いているシートベルトみたいに伸縮性があった。
繋ぎ目にある留め金をカチリと止め、サスペンダーのように両肩と腰が締め付けられる。
「そして次に腕のベルトな」
金属の腕を引き寄せて二の腕あたりにあるベルトを結ぶと、こちらも脚の時と同じように永児の腕に合わせてリサイズしながら装甲が閉じた。
リサイズといっても、永児の体格に沿ってアーマーが縮むのではない。
内部の骨組みやパーツや金属繊維が自動で動いて、永児の体に合わせているのであり、Vアーマーの大きさ自体は変わっていないのである。
両腕の装着が完了した際に、ちょっと手を動かしてみろと言う源三郎の言葉に従って左手を上げようとすると、ぐん、と後ろから押されるような力が加わったと同時にVアーマーの左手が目線あたりまで上がった。
試しに自分の指を親指から小指へ閉じたり開いたりすると、Vアーマーの指も同じように動く。
手だけでなく指の動きまで繊細にトレースされている。
「おおっほんとに動いてる!」
歓声をあげる永児の隣では、春満に手伝ってもらいながらVアーマーに乗っている健流も、不思議そうな顔で自分の腕を動かしながらアーマーの動作を眺めていた。
「よし、それじゃあ最後に胴体部分を閉じるぞ。頭の上の方に開閉スイッチがあるから、それを押してくれ。そう、その緑のやつな」
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