第三章 鹿島能登高校アーマーバレー部(ここからヒロインとか仲間とか)
入学編
【17】bullet
四月から永児は高校生になった。
入学式が終わり、永児は
そのまま帰っても良かったが、バレー部らしき人がいないだろうかと気になってしまい、体が勝手にここへ向かってしまったのだ。
とはいえ今日は入学式だから誰もいないかもしれない。
だがどうにも気持ちが収まらなかった。
以前二多宮から手渡された、あのディスクROMで観た試合が脳裏に浮かぶ。
普段どんな人達が、どんな場所で練習しているのか早く知りたい。
それと意外だったのが鹿島能登高校の体育館は二つあるという点だ。
入学式で使われていた体育館には、中を見渡してもパワードアーマーらしきものは
一つも見つけられず、ごくごく普通の体育館に見えた。
(バレー部は普段どっちかの体育館で練習してるってことだよな、たぶん)
永児はまだこの学校に来たばかりなので、どの部活がどの体育館で練習しているのか全く把握していない。
よってバレー部の行方がどこにあるのかもわからないのだが、先ほど入学式で入った体育館にパワードアーマーは無かった。
(ということは別の体育館か)
単純な消去法でアタリを付けた永児は、もう一つの体育館へと向かった。
「でかいなあ……やっぱり高校の体育館だからなのか」
学校の体育館というのはもっと無機質で、コンクリートの箱の固まりといった印象がある。
だがこちらの体育館には幾何学的に組まれた木材が使われていて、
ガラス窓も多く配置されており、ちょっとしたランドマークと言えるくらいに個性的な外観となっていた。
建物の形状というかデザインからして、こちらの方が入学式で使っていた体育館よりも比較的新しいのではないかと感じさせられる。
高い位置に取り付けられた窓を見たが、蛍光灯の明かりは漏れておらず、人の声も響いてこない。
「ん?」
体育館の入り口を見ると扉が開いていた。
そして一瞬ではあったが誰かが入っていったように見えたのだ。
(今、誰か……いた?)
誰か来るかもしれないと思い周りを見ながら、そろそろと体育館のガラス扉を押してみると簡単に開いた。
やっぱり誰かが通路の中へ入っていったのだ。
灯りは点いていないものの、建物自体にガラス窓が多く使われているので、昼間の太陽光さえあれば中の探索は問題なくできそうだった。
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