第二章 小さなゴリラ(ヤツと決別します)
【08】bullet
自室に帰った永児は家のノートパソコンを拝借して、二多宮から渡されたディスクROMを再生してみることにした。
するとファンファーレに似た効果音とともに
『来たれ!
とタイトルが大きく表示され、女子生徒のものと思われるナレーションが流れる。
どうやらアーマーバレーを紹介するための動画のようだ。
「なんか始まった……」
てっきりはじめから試合の映像が流れると思っていたのだが、たぶん新入生向けのレクリエーションで作った映像をここでも使っているのだろう。
こちとらアーマーバレーについては何も知らないのだ。
せっかくなのでこのまま映像を流しておくことにする。
『人類が発見した半物質虚数体、通称<クリスタル>によって、大きく進歩したロボトニクス技術から生み出されたバレーボール仕様のパワードアーマー、
このVアーマーに搭乗して選手たちはアーマーバレーに臨みます』
説明と共に黒と白で色分けされたVアーマーが映し出され、それらに乗る選手たちの姿や練習風景が流れていく。
『刻々と変わる状況の中、チームプレイが勝利への鍵となります。
全員が最適な動きをするための戦術、
勝つために磨きあげたボールを操るための技術と体力。
Vアーマーに搭乗できるのは15歳から。
つまり新入生の今がまさに始めるチャンス!
全国のアーマーバレー部が集うホワイトコートを目指して、一緒に切磋琢磨する仲間を募集中です』
女子生徒のナレーションが終わると、試合の映像に切り替わった。
一言で言うと試合会場がすごく広くて立派だ。
目に付く場所の至るところに白い彫刻が掘られ、いつか写真で見たギリシャ・ローマの遺跡のようだ。
真っ白な証明に照らされた観客席は満員で色とりどりの横断幕が壁を飾る。
中心にある2枚の横断幕の内の一つが鹿島能登高校のものらしかった。
スローガンは『波を起こせ!!!』と書いてある。
試合が始まった瞬間、永児は目を剥いた。サーブが早い。早すぎる。
あんなスピードありかよ!?と思う間もなく、相手コートのリベロと思われる色違いの機体が即座に受け止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます