第20回配信 バトロワ!

 今日の配信はバトルロワイヤルのリアルタイム配信、配信前に何度か練習したが強い人たちに蹴鞠のゴムまりのごとく蹴られ、轢かれて上位に残ることはなかなかできない。気が付けば生存率がマイナスになっているほどだった。


 配信開始直後からコメント欄には、

「こっちに行った方がいい!」

「この武器が強い!」

 などの指示コメントが飛ぶ。支持の多さにミイナはたじろぎつつもどうにかバトルロワイヤルを生き残り、残り10人まで来た。

「残り10人……絶対生き残るよ……」

 装備はレベル制で色分けされており、下から白、青、紫とあり、超レアとして金の装備がある。ミイナは防具が青、武器はマシンガンの紫とスナイパーの白を持っている。スナイパーが得意というわけではなく、序盤に拾ってそのまま装備していた。銃声はいろんな方向から聞こえてくる。180度耳を澄まして制限範囲のギリギリ、草むらに身をひそめる。今の自分の撃ち合いスキルでは到底かなうことのできなそうな発射レートで単発銃を連射する音が聞こえる。このゲームはある欠陥として、セミオートの武器はクリックしただけ弾が発射されるという発射制限がないため、射撃ボタンを連打できる人が持つと金武器をはるかに凌ぐ性能を、また、金武器のハンドガンももれなくセミオートなので鬼に金棒になってしまうわけだ。制限範囲が徐々に狭まり始めいよいよ最後の警報が鳴る。なった時点での生存人数はミイナを含めて3人。彼女はばれないように匍匐で草むらの中を進んだ。ゆっくりと進み、コメント欄の存在も忘れ、ひたすら物音を出さないように努める。コメント欄のリスナーも固唾をのんで見守る。視聴者は500人を超えようとしていた。と、


ズダダダダダ!!

 目の前の丘で銃声が聞こえ、キルログが流れ、ミイナと敵の二人だけになった。3人称視点で敵の位置を確認すると、全く反対の方向を探している。装備を降下直後から手にしているスナイパーで照準を合わせる。


パァン


 ミイナの撃った弾は相手の頭を見事に打ち抜き相手はその場に崩れ落ち、画面には1位の表示が出る。

「やった! やったよみんなー-!」

 コメント欄も”うぉおおおお”や”ナイスー”に包まれる。配信を始めてから3時間つきっぱなしだったのでこの日はこれでお開きとなった。ミイナは1位の画像をスクリーンショットで保存し、SNSに

『みんなのおかげで1位とったぞー!』

 と、喜びのツイートを上げた。このツイートが拡散され、ミイナの視聴者がさらに増えていくのはこのあとすぐのことであった。

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