第10回配信 ゲーム枠!

 配信の準備段階、待機枠には既に十数人の待機者がいる。みんなのコメントを見つつ、枠の裏側で配信準備をコツコツと進める。飲み物と、お菓子と、効果音用のショートカットのキーと……今日はゲーム配信なのでキャプチャーボードの設定を再確認する。うん、問題なさそう。開始時刻の21時になったので配信の開始ボタンを押し、配信を始める。

「こんばんはー! ミイナだよ! 今日はゲーム配信していくよ!!」

 画面を転換させゲーム画面を映す。今話題のオンラインサバイバルゲームが表示された。視聴者参加型の初ゲーム枠という事で初回から見てくれている数人がサーバーに入室しチャットを飛ばしてくる。

「ティッピでーす失礼しまーす」

「立夏317推しです。こんばんは~」

「ドールです」

 今日は3人が入室して主にサーバーの本拠点づくりを始める。木の枝と雑草、大きな石で石斧、木の棒と雑草の縄と大きな石で、石のつるはしを作成し、みんなで1区画分の整地をする。ここで消費されたつるはしが12本、石斧が22本完全に壊れて作り直した。集めた資材で仮組をして、木の柱を立てる。今後資材を集めてここは強化することにして、大木をクラフトして木の板、それを5つまとめて木の壁、木の床を作成し、木の柱で作った枠組みにセットしてゆく。こうして外観は拠点が完成した。内装は簡易的に収納用の木箱、木の机が設置され、若干の生活感が出る。これから増やしていこうという形で約2時間の配信を終える。

「それでは皆様~、お疲れ様でした~!」

 配信終了ボタンを押してフェイスリグを外す。秋口とはいえまだまだ暑く、リグの周りは汗がだらだらになっている。椅子に掛けてあるタオルで一度髪を拭き、その手で携帯をつかみ配信終了のツイートをする。数名がすぐにいいねを押してくれたので

”ちゃんとみてくれているな” 

 という実感がわき、次の配信も頑張ろうとモチベーションが上がった。


 お風呂に入って夕飯はすでに食べたので布団に入って目を閉じる。夢の中では、今日の配信と同じ光景の中を意気揚々と走り回るミイナの姿があった。視聴者参加型という大きな一つの心配事がなくなり、今日は安眠できそうだ。夢の中の幸せな光景をみつつ、夜は深けていき、そして、


 新しい朝を迎えた。

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