失態?
完全にしくった。この人生”たち"の中で一番の失態だ。まさか死ぬ間際にしか使わないと決めていた能力を使ってしまうなんて。
私は今"凡 仁"だ。バレてしまった以上は面倒だが"榴美"を殺すしかないか。机に置いてあるナイフに目をやったその時だった。
「へえー!すごい!僕が榴美になってる!」
「え、?」
「これって神様のいたずらなのかな?」
「あ、ああ。そうかもしれないね」
今は能天気な感じだが、やはり知られた以上は消す!
「これなら榴美が死ななくて済むかも!」
は、、?
「このまま入れ替わったままでいれば、この体が死んでも榴美は生き延びれるよ!」
一瞬だけ思考が止まった。何を言っているんだこいつは。意味がわかっているのか?自分から代わりに死ぬっていうんだぞ。
馬鹿なのか?
「なんで、そこまで..」
思わず”仁”が問う
すると、"榴美"は顔を赤らめて、息を吸ってから、吐き出す空気と一緒に言葉を送った。
「だって僕、君のことを、 愛しているから」
...落ち着け、私、落ち着くんだ。そんなこと分かりきっていたことじゃないか。何も動揺することじゃない。そうだ、このまま”仁”として生活していけばいいんだ。とりあえず”帰る”か。こいつの体の中の記憶を頼りにすれば家の場所くらいすぐわかる。
”仁”は何も言わずに、何も消さずに病室を立ち去った。
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