第36話 スペイン遠征準備

-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-

1936年6月27日


「ドイツがヘリコプターの開発に成功か…」


 首相室で諸外国についての報告書を確認している中、ドイツがヘリの開発に成功したという報告書があった。内容をよく見ると極東ロシア大公国の航空技術者※①イーゴリ・シコールスキイや日本の萱場製作所との合同開発らしい。


 そして、開発されたヘリを撮った写真を見ると、どう見ても※②R-4にしか見えない。絶対に転生者である総統ヒトラー中将永田が開発に介入してるでしょうね。


 そして次の報告書を見るとヘリ購入の打診がドイツから来ていた。


「アンナ、バルボ国防大臣からこれについて何か言われてる?」


「はい、バルボ国防大臣からは試しに何機か購入し実験をしてから決めると聞いています」


「わかった。ならこれは空軍のみならず陸海空軍、黒シャツ隊とカラビニエリも含めて実験する様にバルボ国防大臣に言ってちょうだい。陸軍と黒シャツ隊なら弾着観測や兵員や物資の輸送に利用しても良いし、海軍だったら哨戒機として軍艦に搭載してもいいし、空軍なら今言った活用方法の他に対地攻撃を専門するヘリコプターとして実験をするのもあり。カラビニエリは輸送仕様のヘリコプターを使用して占領地の治安維持で迅速に展開するのに使うのもありだと思う。そろそろスペインでひと騒ぎあるからそこで試せると思うよ」


「わかりましたその様に伝えておきます。それとドゥーチェ、購入の打診で思い出したのですが、その他にもドイツと日本から装甲兵員輸送車という物もきていますが、どうなさいますか?」


 装甲兵員輸送車が日本とドイツからってことは、日本は恐らく※③一式半装軌装甲兵車と※④一式装甲兵車、ドイツからだと※⑤Sd Kfz 251あたりかな。史実では1936年までには出来てない筈だから、かなり早く作ったんだろうなぁ。


「二つとも購入して実戦で使用した後に優れていた方をライセンス生産・又は独自開発する様に言っておいて」


「わかりました」


そんな事を話していると首相室にノックの音が響いた。


「ドゥーチェ、バルボ国防大臣がお越しです」


と首相室前に待機しているアンナの部下である女性黒シャツ隊隊員がドア越しに言ってきた。


「通して」


「失礼します。ドゥーチェ、スペインに遠征する軍の編成が完了しました」


「わかった。遠征に参加する部隊の説明をお願いできる?」


「はい、陸軍が1個機甲師団と2個歩兵師団。海軍が重巡洋艦を主力とした艦隊と護衛の水雷艇が30隻、MAS魚雷艇が同じく30隻、潜水艦が32隻、補助艦多数です。空軍が2個航空団、カラビニエリが2個師団ですね。今回は黒シャツ隊の派遣を見送りました」


「わかった。他に報告はあるの?」


「いいえ、特にありません」


「そう...あっ、そうだバルボ国防大臣に言おうと思っていたことがあったんだ」


「なんでしょう?」


「さっきアンナと話していたことだけど、先日ドイツで開発されたヘリについてで、ヘリを空軍だけじゃなく陸海空軍と黒シャツ隊、カラビニエリでも配備してくれる?」


「理由をお聞きしても大丈夫ですか?」


「わかった、ヘリの利点を言うとその機動力と多様な任務に対応力だね。例えば兵員・物資の輸送や偵察任務、救助任務や哨戒任務等もね。武装を付けて対地攻撃機として運用してもいいし爆雷を付けて対潜機として使っても良い。今回のエチオピア戦で起きた補給の問題点や北部山岳地帯での教訓を踏まえて、今回の遠征で多少なりとも我が軍の進軍を手助けしてくれると思うからね。まぁヘリを運用するための乗員訓練とか整備の仕方等の課題はあるだろうけど、私は今回の遠征で使って欲しいと思ってる」


「わかりました。まず実際に運用に耐えるか実験をしてパイロットの育成が完了してからにはなりますがその様に致します」


「ありがとう。それと日本とドイツから装甲兵員輸送車について購入の打診があったと思うけど、両方から一定数を購入して遠征の時に実験してみてくれない?貴重な兵士を守りながら進軍できるのは魅力的だからね」


「わかりました」

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウィキペディア参考)

① イーゴリ・シコールスキイ

ロシア帝国生まれ。1917年のロシア革命でアメリカに亡命。シコルスキー・エアクラフトを設立して、近代的なヘリコプターの開発した。この世界では極東ロシア大公国に亡命して同会社を設立。


② R-4

世界初の軍用ヘリコプター。この世界では複数の兵員を乗せられる型が同時期に開発されている。

以下のものはR-4B型

R-4B

乗員 1名

全長 10.2 m (33 ft 8 in)

全高 3.8 m (12 ft 5 in)

主ローター直径 11.5 m (38 ft)

空虚重量 952 kg (2,098 lb)

全備重量 1,170 kg (2,581 lb)

エンジン 1 × ワーナー R-550 星型エンジン、200 hp (149 kW)

最高速度 120 km/h (75 mph)

巡航速度 105 km/h (65 mph)

航続距離 210km

巡航高度 2,400 m (8,000 ft)


③ 一式半装軌装甲兵車

大日本帝国陸軍の装甲兵員輸送車

全長 6.10m

全幅 2.10m

全高 2.51m

重量 7.00t

乗員数 3名+兵員12名

装甲 6mm

副武装 九二式重機関銃×3

速度 50km/h

エンジン 日野重工統制型一〇〇式発動機DB52型

空冷直列6気筒ディーゼル 134hp/2,000rpm

懸架・駆動 半装軌式

行動距離 300km


④一式装甲兵車

大日本帝国陸軍の装甲兵員輸送車

全長 4.78 m

全幅 2.19 m

全高 2.58 m

重量 6.50 t

乗員数 3 名+兵員12名

装甲 6 mm

主武装・副武装 非武装

速度 42 km/h

エンジン 統制型 空冷直列6気筒ディーゼル134 hp / 2000 rpm

懸架・駆動 装軌式

行動距離 300 km


⑤Sd Kfz 251

ドイツ国防軍の装甲兵員輸送車

全長 5.80m

全幅 2.10m

全高 1.75m

重量 7.81t

乗員数 2名+兵員10名

装甲 6-14.5mm

主武装 MG34またはMG42

速度 52.5km/h

エンジン マイバッハHL 42 直列6気筒液冷ガソリン100hp(74.6kW)

懸架・駆動 トーションバー式・半装軌

行動距離 300km

出力重量比 12.8hp/t


-追記-

11月19日 一部の部分を付け足しました。

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